2011-06-02 16:16:46
テーマ:ブログ
歌野昌午の『葉桜の季節に君を想うということ』を読了した。
もう八年も前の作品だし、散々アマゾンのレビューでいわれているから付け加えることはないが、叙述トリックという技法で書かれていて、申し分なく作者によって騙される物語である。
が、しかし、叙述トリックというのは面白くないなあと思った。
別に叙述トリック自体がつまらないわけではないのだろうが、この話は叙述トリックを使うにしては平凡にすぎる。
それが明らかにされた際の驚きはあっても、物語の強度が薄っぺらいために技法的な巧さのみに舌を巻くだけで、決して咀嚼したいとは思えない。
焼肉の美味しいタレだけを飲まされて、肉を噛むことはゆるされていないような作物である。
文庫の帯に「これが現代ミステリーのベスト1です」と書いてあるが、ミステリーってこんなもんなんだと思ってしまった。
昔から、嫌いであまり読まなかったけれども、読み切るとほんとに期待していなくてよかった。
やはり、予想通りどうでもいいものだね、ミステリーってのは。
といっても、一作ダメだったからといってミステリー全般を詰まらんと切り捨ててしまうのもよくはない。
まあ、読んでみるとするか。
しかし、どうにも頭が痛む。読んだ時の気持ちよさがない。
これがあるから本に次々と手を出せるというのに、何だか暗鬱になりますね。狐にばかされた気分でさあ。