MMTという三つのアルファベット、最近よくみませんか?
新聞や雑誌、ネット記事でこの三文字が仲良く小躍りしているのをちらっとみたことがあるかとおもいます。
しかし、MMTってまず何のことなのかわからない。
略称ですからね、そら、わかるわけがない。
MMT=Modern Monetary Theory=現代貨幣理論
というのがMMTの原義です。
いや、これでもわからない。
そうでしょう。僕も現代貨幣理論とかいわれてもわからないです。
そういった我々一般庶民に対して優しく教えてくれるのが
今回の中野剛志の本の付録というわけです。
この本には付録としてMMT(現代貨幣理論)について説明したおまけがあります。
このおまけを使って、私ズンダと一緒に中野さんが考えるMMTを一緒になぞっていくことにしましょう。
ではみていきましょう。
- 通貨ってなんなの?
- 政府支出の動きからMMTの正しさを理解する
- MMT で国民が知っておかねばらならぬこと
- MMTに寄せられる批判
- とりあえずMMT、悪くないじゃんとおもった人へ
- 令和日本・再生計画: 前内閣官房参与の救国の提言 (小学館新書) を読むことをおすすめします。
- 終わりに
通貨ってなんなの?
通貨って何なんでしょう。そして、どんな役割?
通貨は円やドルやポンドのこと
↓
国はこれらを法律で決める。法定する。
↓
これらで納税しろ!と国民に国が要求する。
↓
政府は通貨を発行し、租税の支払い手段として定める。
↓
国民、税金を払うためには法定通貨がいるんだ!しょうがねえ、この通貨を使うか。
↓
民間取引の支払いや貯蓄の手段として使うようになる。
というわけです。
つまり、それぞれの国が「この通貨で税金はらえ」と国民に言い渡し、使わざるを得ないがために、需要がうまれ、皆が使うようになるわけですね。
もし仮に、私ズンダが貨幣をつくっても、税金をはらえと命令できるだけの力がないために通貨にならず、普及はしないでしょう。
ちなみにこの力が何を指すのかは説明されていません。
やはり刑罰なのでしょうか。
ところで、ここで気づくはずです。いや、気づかなきゃだめなことがあります。
私たちってお金、いつからもちはじめたの?
ということに。
MMTが発見したこと。我々が使ってるお金はどこからきた?
というのも、通貨で税金を払わねばならなかったとしても、まず国民がお金をもってないとはじまらないからです。
「まず始めに通貨ありき」ってことですね。
そして、このことから、ある発見がなされます。
「国家は国民にその通貨を渡す側であった」ということです。
我々一般人は次のように考えていた人が殆どだと思われます。
一生懸命はたらいた!
↓
国家から徴税されて、いくらかひかれる
↓
しょうがないけど、税金で集めたお金、ちゃんと賢くつかってね!
が、これは間違いです。
MMTのキモはここにあります。
実際は、国家が支出をするのにあなた方から集めた税金を必要としていません。
つまり、あなた方から税金を貰わなくても国家は支出できるということです→財源不足はありえない、ということがわかる。
そしてそれが、MMTの大発見だったというわけです。
むろん、ここから消費税を10%にあげる必要もない。
それどころか消費税を廃止してもいいということがわかりますね。
国家がもし喋ることができるなら次のようにいうでしょう。
「国民さあ、勘違いしないでくれる?僕は君らの金なんかなくても、支出できちゃうんだよ。だって、つくる権限あるし。」
といって政府小切手をだすわけです。
何かイラッとする台詞ですが、事実です。
国家は支出できるけど、無限ではない。制限あり
但しここで付け加えておくべきことがあります。
・日本政府はドルはつくれない。ポンドもつくれない。円をつくれる。つまり、自国通貨建ての国債発行ならOK。
・確かに国の支出は我々のお金とは関係なく支出できるのだが、それは無限を意味しない。
無限に支出はできないのです。
というのも、無限にお金を出してしまうと、投資がおこりはじめます。投資をすると事業拡大のために人が必要になったり、人を集めるために賃金をあげたりして、人々の間にお金が入り始め、モノがよく売れ、さらに投資の拡大がおこり、景気がよくなっていきます。景気がよくなると、インフレーションが起こります。金回りがよくなるとインフレになる、と考えておくとよいです。
このインフレーションがあがりすぎると、我々の生活は苦しくなります。
どうしてか?
それはインフレーションとは物価が上がる現象のことだからです。
物価があがると、我々は生活が苦しくなります。
インフレすぎると「蒲焼きさん太郎」が買えなくなる。
コンビニで10円ほどで売っている「蒲焼きさん太郎」というお菓子をご存じでしょうか。
私、このお菓子が子供の頃から大好きだったのですが、親から健康に悪いということで一ヶ月に一枚程度しかかってもらえませんでした。
大学生になったとき、この蒲焼きさん太郎を十枚ほどかってみました。百円でした。安かった。
しかしこれがもし、インフレーションがあがりすぎると
10円→10000円になってしまうかもしれません。
こうなると、十枚かうどころか、一枚すら買うことが憚られます。
というか、私は絶対に一万円では買いません、買えません。
無論、これはインフレが悪いということを意味しません。
問題は賃金の上昇です。
物価よりも高くはやく賃金があがっていけば何の問題もありません。
緩やかなマイルドインフレ、であれば賃金上昇の方が物価を上回ってあがっていくといわれております。
しかし、もしインフレになって賃金もあがって、「蒲焼きさん太郎」を一万で買うことが楽勝でできるようになったとしても、昔の記憶がある私は抵抗感を覚えてしまうのかもなあ、なんておもわなくもありません。インフレを経験していない世代の人間なので、実感としてのインフレがわからないのです。
インフレーションも、やり過ぎれば問題、というわけです。
ここまでのまとめです。
支出は税金と関係なくできる。が、インフレ率だけは気にしながら支出しないとダメである。と、同時に、財源が足らないから何もできないは嘘だとわかる。
政府支出の動きからMMTの正しさを理解する
では、政府支出がどのように行われているのかをみていきましょう。
その前に。
正直言うと、ここの部分はリンクから、
MMTを解説した動画に飛んで貰った方がいいです。
文字媒体だと理解が難しい箇所で、お勧めしません。
「お金は支出できるのはわかった。だとしたら、何のために税金をとってるの?」まで読み飛ばすことをおすすめします。
1/2【Front Japan 桜】MMT(現代貨幣理論)おカネの真実を知ろう! / トランプ大統領の5G演説、米中対立本格化[桜H31/4/15] - YouTube
この動画の25:00ぐらいからご覧ください。
政府は口座をもっている、ということをまずご存じでしょうか。
え、政府って個人なの?となると戦前を思い出すような感じがしますが、政府はともかく口座をもっています。
この名前を、日銀当座預金、といいます。
同時に民間銀行も日本銀行に「日銀当座預金」を開設する義務があります。
要するに政府と民間銀行は「日銀当座預金」と呼ばれる口座をもっている。
ここで、「日本政府が公共事業をしたいので、建設会社Aに対して10億円を払う」と考えます。
そして、日本政府と建設会社Aの取引は、建設会社Aの取引先の民間銀行αが仲介します。
すると、こうなります。
建設会社Aの民間銀行の預金は10億円ふえる
さらに
民間銀行の日銀当座預金も10億円増える
ところで、最初に政府が出した10億円のお金はいったいどこからきたのでしょうか?
答えは先ほど述べたように、政府が10億円つくりだしました。どこからか調達してきたとか、そういうことではありません。神の如く創造したわけです。
そもそも国債っていらなくないか?
今までの考え方でいくと、政府って国債発行しなくても実はいいのではないか。そういうふうになってきますね。
中野氏は次のように説明します。
民間銀行の日銀当座預金は最低額というのが決まっている。つまり、一定の水準を保っていなければならない、というわけです。
これを準備預金制度といいます。
この準備預金が最低必要額を超えてしまうと、金利がさがります。金利が下がると困ってしまうので、国債を民間銀行に売却して超過分の準備預金10億円を吸い上げて、金利が下がらないように調節するわけです。
故に国債が必要だと説明しておられます。
もしかするとこの辺、MMT論者の方から批判がくるものかもしれません。とりあえず、中野さんはこう考えておられるということで。
さてここでわかったことは以下のことです。
政府の支出は民間貯蓄とは関係がない、ということです。
聞いたことがありませんか?
日本の国債が暴落しない理由は民間貯蓄が大量にあるからで、
この貯蓄分で国債を買っており、借金がそれ以上になってしまったら、暴落する、と。
この見解も間違っていたということです。政府は支出は民間のお金によって支えられているのではありません。結局、政府の支出は民間のお金と関係なくできてしまうのです。
お金は国が支出できるのはわかった。だとしたら、何のために税金をあつめてるの?
理由は以下の二つです。
- ある通貨を国の通貨として認めさせるため。円なら円に価値があると思わせるために円で税金を支払わせる。
- 物価を調整するためにある。物価あがりすぎて苦しいなら増税することによって人々の経済活動を弱らすことができる。弱ると、会社はモノが売れないので投資をしなくなり、資金需要が減る。活発なお金のやりとりがなくなる→デフレへ向かうので、物価は下がる、ということ。
MMT で国民が知っておかねばらならぬこと
さて、MMTの原理が分かったところで、我々一般人にMMTが教えてくれたことは何なのでしょうか?MMTで我々は何を言えるようになったのか?
国民が知るべきことは一つです。
「財源問題」はない、ということです。
ここまでで述べてきたように政府は、あなた方からお金をとらんでも、お金をつくって支出できます。
年金だとか生活保護だとか教育への投資だとか科学予算だとか、色々お金のことでニュースや新聞が騒いでいますね。
その度毎に、
「お金がないから日本はなにもできないんだ!もうおわりなんだ!いや、もしかすると消費税をあげればどうにかできるかも!?」
という言説が飛び交っているのをよく見かけると思います。
なぜか世の中の税金は、消費税以外は存在しないかのような報道しかなく、もしかすると私が住んでいる世界というのは存外、シンプルな世界なのかもしれない、と観想してしまうのですが。
しかしMMTはこれらの言説を一笑に付すことができてしまいます。
「国がお金をつくれるじゃん。財源はそれです」
で話が終わるからです。
これ以上ないぐらい簡潔で綺麗な答えです。
しかもこの話は与太話でも何でもなくて、事実です。
水が100度になったら沸騰する、といった類いの話と同じで、言い返せません。実際、今まで言い返す事が出来る人はいませんでした。
アメリカ MMTに理解を示すサンダースの話
つまり、この本や私の記事を読んだ日本国民の皆様はくだらないことで悩む必要はありません。
素直に自分たちの生活を豊かにしてくれる政治家、MMTに対して理解を示している政治家を選べば良いだけです。*1
それで日本の問題は問題でなくなります。
今までお金がなくて苦しかった人も大学へ行きたかったが金がなかった人も、MMTで軽減してしまいます。
たとえば、アメリカの民主党にサンダースという政治家がいます。この人の補佐役にステファニー・ケルトンというMMT専門の学者がいます。
MMTをもってして、サンダースは米国の学生ローン免除の法案を提案しています。計172兆円です。
とんでもない額です。
しかしMMTで考えると172兆円ですら問題ない額だということでしょう。
たぶん、いきなり172兆円をチャラにするということではないとおもいますが。インフレ率がどうなるのかわかりません。
MMTに寄せられる批判
ところで、こんなにお金を使いまくっていたら、
インフレが止まらなくなってしまい、ハイパーインフレになるのではないか
という疑義が呈せられることがあります。
それについて中野氏は次のように答えます。
- 20年間デフレをやった国は戦後、日本ぐらいしか見当たらないのになぜインフレを危険視するのかわからない。そもそも日本はデフレから脱却したいのだからインフレでいいだろ。加えて、ハイパーインフレは戦争か独裁政権ぐらいでしか起こったことがない。日本が何処かの国と戦争して焼け野原にでもならないかぎりハイパーインフレにはならない。
- インフレ目標を定める。例えば二%程度にしたいと決定する。予算規模を二%で収まる程度に決めればよい。それで終わり。累進課税制度がインフレ率を抑制してくれる。インフレになると景気がよくなるから所得が増えている人間からは金を国が多く取れる。すると、一定のところで消費を弱めることになるのでインフレ抑制効果を発揮する。
- 「職業保障プログラム」=JDP(Job Guarantee program)と呼ばれるものがある。公的部門が社会が認める最低賃金で希望者を雇う制度。景気が悪いときは政府が雇い、景気が良くなれば民間の方で彼らを雇って貰う。このプログラムへの支出の割合を増やしたり減らしたりすることでインフレ率を調整できる。
- 昔と時代背景が違う。今はグローバリゼーションの時代であり、安価な製品や安い労働力が入ってきている。またAIやロボット技術の進歩により、供給力がつよまった結果、モノを大量につくることが簡単にできるようになってしまった。つまり、デフレーションへ向かう力が強い時代なのである。インフレーションは抑制されやすい時代といえる。
と、インフレが止まらなくなるという危惧を論駁し、次のようにいいます。
むしろ怖いのは、インフレにならないことである、と。
というのも、景気がよい=インフレ、だからです。
デフレ=景気が悪い、ということなのでインフレにならないと我々はずっと景気が悪いままの人生を送らなければならなくなります。
ということで、景気がよいとはインフレのことである、というふうに百回ぐらいいってみましょう。記憶することが大事です。
とりあえずMMT、悪くないじゃんとおもった人へ
さて、ここまでMMTの話をしてきましたが、どうだったでしょうか。
おわかりいただけましたでしょうか。
わかった人からするとMMTは確かに日本の問題といわれてきたものを解決する力がある。
いや、そもそも「問題自体がなかったのでは?」、「私たち、誤った問題制作者の問題を解かされてた?」ってことになりそうですね。
MMTと選挙
参議院選が始まっております。
ここまでの話を理解なさった方々は
増税します!とかいっている政治家は何も分かっていない人間なので日本を守る政治家としては不向きな人間であるということがおわかりになるでしょう。
そのため、落とすようにすべきでしょう。
そして消費税を減税するや廃止するといってる人に投票すればよいのです。
※追記
七月一二日 朝のテレビ朝日モーニングショーにおいて京都大学の藤井聡氏がインタビューを受け、増税しなければ日本のGDPは850兆円ほどになっていたといっておられます。
気になった方は藤井氏の
令和日本・再生計画: 前内閣官房参与の救国の提言 (小学館新書) を読むことをおすすめします。
我々国民はもっと自分たちの欲望を政治家にぶつけるべきです。
私は小学生ぐらいから嫌いな人間というのがいました。
それは「お利口なことばかりいう奴」でした。
先生や大人が支持するであろう意見を声高に述べて、おべっかを使い、ゴマをすり、自分をかわいがってもらおうとする人間。
道徳の教科書から飛び出てきたような性質の人間。
ああいうのが嫌いでしょうがなかったのですが、昨今、日本の有権者をみるにつけ、そういう人が多いのではないかと思うようになりました。
本当なら、自分たちの生活が苦しくなることなど望むわけがありません。一体誰が自分の首を絞められて喜ぶというのでしょうか。
不可思議な日本の保守という存在
実はこの本、主に書かれていることはMMTの話というよりも知識人、特に日本の知識人についてです。
以前、日本の親米保守派として知られる櫻井よしこという人物が増税に賛同したことでTwitter界隈がざわついたことがありました。
この人に限らず、日本の大部分の保守はどうして日本人を苦しめる政策が好きだったりします。
「小さな政府」「規制緩和」「グローバル化」「民営化」「財政健全化」などです。
これをひとまとめにして「新自由主義」といいます。
こういった政策の結果、日本人がどんどん貧乏になっていき不幸になったということを理解している人は、小泉純一郎が持て囃された時代に比べれば多くなったと言えるでしょう。
Youtubeの動画でも小泉の知恵袋であった竹中平蔵を批判するものが多くあります。
しかし、昔も今も相変わらず、日本の保守系の人々はこの考え方が大好きです。
彼らは日本を守る、といいながら、日本を弱くする政策を支持しているのです。
これはいったいどういうことなのでしょう。
ということで、次回の更新に繋がります。
終わりに
今回は中野氏のMMT解説を紹介する記事でした。
MMTに関してもっと深く知りたい方は当方のブログの関連記事からyoutubeにあがっている中野氏や藤井氏などの動画を見ていただけると更に勉強できるとおもうので、どうぞリンクからおすすみください。
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※ちなみに今回の本ではOMFとかspending firstという単語はなかった。何故かはわからず。前回の基礎知識編で学習しろということか。
ここまで書いてきてなんだが、どう考えてもこの付録で理解するのは難しい。
というわけで、やはりMMTは動画での解説をみることをおすすめします。