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【感想】色んな人のいう医学的エビデンスって信用できるの?中編『医者が教える食事術2』健康に生きるために(ダイヤモンド社)

 

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イラスト屋

 

 さて、今回もまた『医者が教える食事術2』のはなしです。これが中編です。
 ちなみに前編と後編は

↓です。

zunnda.hatenablog.com

 

zunnda.hatenablog.com


 この記事でお話ししたいのはエビデンス」についてです。
 

 メンタリストDaiGoさんの放送をご覧になる方々は耳に胼胝(たこ)ができるほどに知っておられるでしょう。
 

 この本の当該箇所について、牧田氏はDaiGo氏を軽く意識してこの部分を書いているのではないかと私は勝手に思いました。 

 無論、名前を挙げているわけでもないし、批判しているわけでもありません。

 

 というよりも、牧田氏は我々一般人に対してこういった動画をみるときに気をつけるべきことを教えてくれているというべきでしょう。


 ただ、一時期話題になったDaiGO氏の「糖質制限の問題点」の動画を糖尿病の専門医である牧田氏が知らないとはちょっと考えにくいものがあります。
 *1
 

 EVIDENCE=エビデンス=根拠、という意味です。
 この根拠を盾にして、我々は自分のいいたいことが正しいと主張できます。

 

 反面、このエビデンスがないと説得力はなくなります。


 「それってあなたの感想ですよね?」と2chの管理人であったひろゆき氏が古谷氏へはなった言葉が有名ですが、エビデンスがないとどんな正しそうなことをいっても「感想」扱いされておしまいです。

 

 牧田善二氏もエビデンスを必ず添えてくれるので、我々読者は彼の食事法に同意して読むことができます。
 

 ところが今作ではこのエビデンスについて牧田氏が詳しく説明しておられます。
 
 これはいったいどういうことなのでしょうか。
 

 エビデンスがある、だけでは何かたりないのでしょうか?

 

 というわけで、私ズンダ、今回の記事ではここに焦点を当てて、牧田氏のいわんとしていることを紹介していきたいとおもいます。

 

 

 

 

 「正しい」とはどういうことか

 

 専門家を騙る人々

 

 牧田氏は冒頭で「知識がないのに専門家のように振る舞ったり、間違いを説いてまわる困った人もいて、自分や家族の健康を真剣に考えている真面目な人々を惑わせています」と述べます。

 

 更に続けて次のように仰います。

 

 こうした情報のなかには、医学論文を引用していたり、データ数値を具体的に示しているものもあり、食の知性を備えた人でさえ判断を誤るのも無理のない話です。

 

 しかし、ここに大きな落とし穴があります。その論文の内容自体がすでに他の研究で否定されていたり、データの信用性が乏しかったりというマイナス要素が隠されているとしたらどうでしょう。

 

 それを『エビデンス』という魅力的な言葉で、上手に覆い隠している現実があるのです。そもそも、エビデンスの基となる論文もピンキリで、世界的に信用度が高いのはごく一部にすぎません。

 

 つまり、我々一般人は専門家が述べる「○○という論文によれば」という型に非常に弱いというのです。
 

 しかし、論文は玉石混淆でして、無限にあります。
 果たして、その論文を取り上げている人は本当に正しい論文を我々に提供しているのでしょうか?

 

 それとも、自分の主張したいことを述べたいために都合のいい論文を持ち出して、いかにもエビデンスがあるかのようにふるまっているだけなのでしょうか。

 

 

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イラスト屋

 騙す人々の意図

 

 牧田氏はここに危険性があるといっておられるわけです。
 
 そして、我々が騙されてしまう理由を次の三つに要約しておられます。

 

  1.  専門家たちの不勉強と自己都合
  2.  資本主義社会の企業論理
  3.  消費者自身の固定観念と思い込み

 

 どうやら、単に「○○大学の調査によれば」を鵜呑みにしていいわけではないようです。
 
 では我々は何に注目して専門家たちの話をきけばよいのでしょうか。
 見ていきましょう。
 
 

 「インパクト・ファクター」でわかる学術誌の影響力

 論文の評価とは 雑誌にはランキングがついている。

 

 インパクト・ファクターとは学術誌に掲載された論文がどれほど引用されたかでその雑誌の価値が決まることをいいます。

 

 そして、ある計算方法によって各雑誌というのはランキング付けされているのです。

 
 このランキングが高い雑誌に載った論文であればあるほど、信憑性が高くなり、我々がきいても価値のある論文といえるのです。

 

 

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出典:牧田善二『医者が教える食事術2 実践バイブル』のP59より


 

 

 牧田氏はアメリカ留学中に「AGE」とよばれる老化促進物質の血中測定に成功し、その研究成果をこれらの雑誌に発表した人物として実は有名なのです。

 

 ちなみに、日本糖尿病学会の英文学雑誌は「2点」しか当たられておらず、殆ど相手にされていないことを示しておられます。
 

 この図をみればわかるように、一口にエビデンスといっても、「何処の雑誌にのった論文なのですか?」と問うことが非常に重要だとわかりますね。
 
 

 「メタアナリシス」の問題点。

 

 

 さて、「メタアナリシス」ということばの意味はなんでしょうか。
 次のような意味です。要約してみました。

 

 誰かが残した研究結果を更に高い見地から分析していく。A、B、Cと別々に発表されている論文をまとめ、統計処理をする。

 

 Aでは300人、Bでは200人、Cでは400人のデータしか揃わなくても、メタアナリシスで纏めれば900人分を分析対象と考えることが出来る。


 しかし、それぞれの研究が行われた条件も対象もレベルも違うので、一概にまとめて正しい結果が導き出せるものではない。

 

 

 と牧田氏は述べておられます。


 実はこの「メタアナリシス」という言葉、これもDaiGO氏が糖質制限ダイエットについて述べた動画内でとある大学教授を批判する際に使っていたことばです。
 

 DaiGo氏曰く「メタアナリシスすらしらないのか!」と憤激しておられましたが、牧田氏にいわせるとメタアナリシス事態、あまり意味ないかもとのことです。

 

 確かに、別々の実験であるにもかかわらず、数を合算して、論文の根拠を厚くしたところで水増しにしか思えないような気はしますね。

 

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イラスト屋

「PURE」をみよ!

 

 牧田氏はメタアナリシス以上に「PURE(Prospective Urban Rural Epidemiology)」の研究論文を注目しているといっておられます。
 
 

 引用します。

 

 これは、カナダの大学や人工健康研究所が共同で行っている「大規模疫学コホート研究」で、従来ではとてもかなわなかった世界的規模の疫学調査が行われています。

 

 調査対象は、なんとアジアを含む5大陸前部、18カ国(地域)で13万人以上、欧米のような先進国だけでなく発展途上国も含まれています。

 

 というサンプル数が少ない研究などではなく、世界全体を視野に入れた大規模な調査がPUREで行われていることなのです。

 

 
 しかし、ここで牧田氏がわざわざ「メタアナリシス」の話を出したというのはやはり念頭にあるのがDaiGo氏の動画を意識してるのかなあ、と。


 カギ括弧でくくり「メタアナリシス」などという話をしなくてもいいからです。

 

 実際、私もDaiGo氏の動画を楽しく見ておりますが、たまに思うのが「どれだけ正しい話なんだろうか?」ということです。
 
 というのもエビデンスとして挙げるには本当に妥当なのだろうか、と首を傾げることがあるからです。

 

 その根拠が妥当なものであるか訝しく思うことがあったからです。

 

 彼の動画は毎回数万再生いっており、チャンネル登録者は120万人を越しております。

 

 毎日更新しておられる姿勢に私は敬意を示してはいるものの、どこまで信憑性があるかについては少し不安な部分がありました。

 

 といっても、DaiGo氏を否定する必要などなく、受けてである我々が自分で最終的に判断するために知力を高めていけばいいだけです。

 

 終わりに

 

 というわけで、今回は牧田氏が語る「エビデンス」のはなしでした。


 医学雑誌におけるランキングを普通の人は知らないと思うので、上にあげた図は有益といえるかもしれません。

 

 誰かしらかが医学論文を根拠にして、自説を述べたときも

「本当にその論文ってただしいの?」と思って話をきくことは大事なはずです。
 
 最終的には我々が判断して行動するほかないのですから、判断力を高めるためにもこういった知識は有用だといえるでしょう。
 

 次回は牧田氏が勧める「健康診断」の方法です。
 正しい「健康診断」とはなんなのか?
 
 我々は各臓器をどんな装置で診断してもらうべきなのか。
 
 そういった話を紹介していきます。
 
 では、また。ズンダでした。

 

 

 

 

 

    

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↓同じく低糖な弁当をいただけます。

*1:※ただし、DaiGO氏は「ダイエットをするのに糖質制限は必要か?」と述べているだけであり、糖尿病については一切触れていません。この点においてとある批判者から「糖尿病に効果がある」という藁人形論法を食らっていたのは、DaiGo氏が被害者だといえましょう。

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