前回の続きです。
ここ数年のファッションの特徴
ノーム・コアとビッグシルエット
さて、ぐだぐだと書いてきましたが、今回のプレフォール DIORをみてみましょう。
見た瞬間「あ、今回のは当たりではないか?」と思いました。
私の好みは「柄が多い。色使いが多い。形は普通」なのですが、これがなかなか得がたい。
ところが来秋のDIORはまさに私が好きな要素が盛りだくさんになっているのです。
特にここ数年はノーム・コア(平凡な、その辺に転がっている格好)やビッグシルエット(サイズがともかくでかい。SサイズなのにMやLぐらい大きい)といった格好が流行っておりました。
ノーム・コアは一年ほど前から鳴りを潜めていましたが、ビッグシルエットなどは今年の冬物ぐらいまでは現役といった感じです。
来秋のDIOR
ハイブランドのファッションショーをみている限りだと、来年の春物から、ビッグシルエットもようやく終わりを迎え、再びシルエットが細めになってきています。
そして、今回のDIORもこれまでの傾向を反転させたようになっていますね。
①ビッグシルエットではなくほそめ
②ノーム・コアではなく柄や色が多数つかわれて、混じりあっている
③漫画『ジョジョの奇妙な冒険』を思わせるデザイン
①について
久々に細目の姿態をみてみますと、こんなにも美しいものかとびっくりしてしまいますね。
ビッグシルエットに慣れ親しんでしまった私にとって、細めな格好がこんなにも美しいことを完全に忘れておりました。
②について
また、この色の豊富さに目が奪われますね。
上のベレー帽から下の靴まで、全体的に豊饒な色がなされ、目にも鮮やかです。
しかもその色使いが、決してうるさく感じられないようになっております。
このなんともいえない統一感はいったいどこからきているのでしょうか。
ベレー帽の魔力ー全身を支配する
私は、モデルのてっぺんに着用されているベレー帽にこそ、その秘訣があるのだと思います。
今日でも用いられる正統的なバスク・ベレーの原型は、中世以前、古代ローマ時代からフランスのベアルン地方で、日よけ・風よけなどの実用品として被られていたという。それが、同じピレネー山脈のフランス・スペイン国境のバスク地方でも広く使われるようになり、さらに貴族や都市住民、農民やランツクネヒトによっても用いられた。のちにバスク地方を訪れたナポレオン3世が「ベレー・バスク」と呼んだことから、同地方の帽子として、フランス、スペイン、イタリアをはじめ世界中に広まった。そして、第二次世界大戦頃からアーミー・ベレーが軍隊に普及し始め、現在では世界各国の軍隊及び一般で用いられている。
ベレーはまた、ピカソやロダンをはじめとする画家などの芸術家にも愛用されてきた歴史がある。日本においては戦後、手塚治虫や藤子・F・不二雄などの漫画家たちがベレー帽を自らのトレードマークとし、漫画家の間でベレー帽が流行した時期があった、という記述もある
農民から軍人や画家まで、多くの職種によって使われてきたベレー帽ですが、その効果は、髪の毛を隠すことによって、すっぽりと人物全体を覆い、全体の表情を牢固としてかためることにあるのだと思われます。
これを被った人たちはベレー帽によって、その印象を押し並べて統一されるようになります。
もう一度、DIORの写真をご覧下さい。
シルエット1、9、10などかなりあくどい色づかいですが、なぜかピシッときまっているように感じませんか。
様々な模様や色がクドいぐらいに使われているにもかかわらず、我々は「ぴったり合っている」と必然の数を思わずにはいられないのです。
単なる「ロゴドン」とは違う
ロゴを強調したシャツや帽子などを見かけた方も多かったのではないでしょうか。
この数年間、ファッション業界で頻繁に行われてきました。
正直、服が好きな人は、こういうブランドが強調してあるものを好まないのではないでしょうか。
私もあまり好きではありませんが、しかし、服は時処位に合わせるべき時と、個人が自由に着ていいときとに分かれるはずです。
よって、ロゴが好きな人はそれはそれで構わないのはいうまでもありません。
来春のDIORでは控えめになっていたロゴは、今回、再び主張が激しくしくなっています。
けれども単に「DIOR」と書いたものは殆どありません。
特にシルエット9の「DIOR」と書いてあるシャツの見事なこと。
グラフィティタグを利用したモノなのですが、会場中にここまでグラフィティが描かれていると、何かシュールレアリスムの世界に迷い込んだ雰囲気になります。
文字の絡ませ方も、シュールレアリスムで有名なダリが描いた「記憶の固執」の時計を思わせるに足るデザインで、私は好きですね。
③について
そもそも作者の荒木氏自体がパリコレなどの姿態を盗んで、画に落とし込んでいたわけですから、拝借していた元祖が荒木氏ふうの意匠になっていても何もおかしいことはありません。
色を使うことの難しさ
それにしても、今回の多色刷りを思わせるような色合いやそれをうまく統一している配色の妙というのは見事としかいいようがありません。
服は色が多ければ多いほど、調整が難しくなることは皆さんもご存じでしょう。
無難な格好をするために一色から二色までに止めておくのがよい、とはファッション雑誌や本にも必ず書いてあることです。
三色、四色になればなるほど、独特で軽い雰囲気がでてきます。
たとえば、ここ数年で有名になったMB氏、彼もファッションは「ドレスとカジュアル」の意識が大事だと仰っています。
ファッションに興味がない人へのお勧め本
この認識は『私服の教科書』をお書きになった久保田卓也氏も同様にいっておられます
私なぞは久保田氏の本を読み、「ハズレない無難な格好の仕方」を学び、人と会うときはこの線を外さないようにして服を着ています。
非常に纏まった本でして、服をどうしたらいいのかわからない方にはぜひお勧めしたい本です。
また近頃、出版された大山旬氏の『服が、めんどい』も好著といえましょう。
とにかく毎日、お洒落などしてられない人にお勧めの本です。
実際、服を好きだったとしても、仕事で自由自在に服をきてなどいられないのが現実でしょう。
何も服のことだけを考えていられる人生でもありますまい。
そうなると、割り切ってしまって「とりあえず、これを着てれば及第点は得られる服」を何セットかもっていればいいわけです。
そういうのが、このあたりの本から学習できます。
今回のコラボの背景
ファッションスナップよりみる
実は今回STUSSYのデザイナーとのコラボなんですよね。
ちなみに、ナイキともコラボして、靴をつくっています。
ファッションショーの服もどアップになって、公開されているので興味のある方はぜひごらんください。
来年の発売が楽しみです。
では、また。ズンダでした。
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