出かける時間帯になると急にお腹が痛くなったり、電車に乗っている最中に便所へかけこみたくなる人、いませんか?
もしかすると過敏性腸症候群という病気かもしれません。
この病気はここ十数年で、人口に膾炙したといえるでしょう。
緊張によって下痢が引き起こされ、まともな生活ができなくなり、鬱や引きこもりになってしまう人もいるぐらいです。
日本では一〇人に一人がこの問題を抱えております。
薬も出ていますが、案外、効かないという方も多くおられるようです。
しかし、近年の研究で「小腸内細菌増殖症(SIBO=Small Intestinal Bacterial Overgrowth)」が原因なのではないかといわれるようになってきたのです。
というのも過敏性腸症候群を発症している人の84%はSIBOを合併しているからです。
つまり、今、過敏性腸症候群で悩んでいる人は、SIBO対策をすれば症状が改善する可能性がある!
では、どうすればいいのか
今回紹介する本は江田証『腸を治す食事術』(新星出版)です。
この記事を読むと次のことが分かります。
☆SIBOとは何か?
☆SIBO対策であるFODMAPについて
SIBOとは?
小腸の病気
では、SIBOとは何なのでしょうか。
引用します。
大腸には100億~1兆個以上の細菌が存在していますが、小腸には通常約1万個ほどしかいません。それが10倍の10万個という爆発的な数字になってしまっているのが小腸細菌増殖症(=SIBO:ズンダ注)という状態です。
つまり、SIBOの方はこの細菌が小腸では考えられないほど多くなってしまっている状態なのです。
こうなると、大量のガスが発生します。
小腸はガスに耐える構造をしていないので、炎症を起こしたり、小腸の粘膜を傷つけてしまう。
そこで普段だったら通すことのない異物が通ってしまい、腹痛や下痢などの症状がでてしまうのです。
しかも、厄介なことに、皆さんが医療番組で得た健康食品を接種することで症状が悪化してしまいます。
健康食品 ヨーグルトやキムチなどを食べてはいけない
腸内環境を整えるためには何が必要なのでしょうか。
よくテレビや雑誌などでいわれているのは次の四点ですよね。
本書から引用します。
1つ目は「発酵食品」です。ヨーグルトや味噌、納豆などが代表食品で、悪玉菌の増殖を抑え、善玉菌を刺激して腸のぜん動運動を活性化します。
2つ目は「水溶性食物繊維」です。海藻やごぼうに多く含まれ、善玉菌のエサとなり、腸内フローラを整える作用があります。
3つ目は「オリゴ糖」。バナナ、玉ねぎ、はちみつなどに含まれ、乳酸菌のエサとなって善玉菌を増やす効果があります。4つ目は「EPA・DHA」です。これは青魚に多く含まれているオメガ3脂肪酸で、抗酸化作用の炎症を抑え、善玉菌が増えやすい環境を整えてくれます
お腹に違和感を覚えることの多い人たちや健康な生活をしたい人たちは、このような食事をとろうと毎日の献立を考えていることでしょう。
しかし、これらの所謂、「整調食」は過敏性腸症候群やSIBOの人にとっては、実は、食べないほうがよい食品だったのです!
これは驚きですね。
私ズンダが読んできた過敏性腸症候群関連の本では、こういったヨーグルトなどはおすすめされていました。
しかし、江田氏はいいます。
「整調食でおなかの調子がよくなるどころか、おなかが張る、ガスが出るようになった、便秘や下痢になったというなら、その食品が合わなかったということ」
実際、私ズンダもヨーグルトや納豆などを食べると却って下痢がひどくなってしまい、生活に支障をきたすだけでして、いいことは何もなかったのであります。
FODMAPを意識して食事を摂ろう!
低FODMAPに依った食事を。
ではいったいどういう食生活をしていくことが、これらの症状には最適なのでしょうか?
それが今記事のキモである「低FODMAP(フォドマップ)食です。
オーストラリア・モナッシュ大学発の食事プログラムです。
これは前述した発酵性のある4種の糖質を控える食事方法であり、小腸のガスを抑えるためには「何をどれだけ接種することが許されるのか」を数値化したものです。
ちなみに江田氏によると、グルテンアレルギーといわれるテニス選手のジョコビッチ選手は「セリアック病」だったのではなく、小麦に含まれるフルクタンという発酵性の糖質をやめたからなのではないかと医学の世界では考えられているそうです。
FODMAPで禁じられている糖類とは
FODMAPは以下の略語です。
F=fermentable=発酵性
O=オリゴ糖類
D=二糖類
M=単糖類
A=and
P=ポリオール類
それぞれ詳しくみていきましょう。
O=オリゴ糖で問題なのは、ガラクトオリゴ糖(豆類やごぼう)とフルクタン(小麦や玉葱)の二つです。
この成分を消化できる人はいないそうです。オリゴ糖を分解する酵素が人体にないからです。
D=二糖類では乳糖です。牛乳やヨーグルトですね。
「乳糖不耐症」という症状を聞いたことのある人は多いのではないでしょうか。
我々は離乳後、この乳糖を分解する酵素ラクターゼが少なくなっていくので、消化できなくなります。それゆえ、牛乳を飲んで腹を壊す人たちがでてくるわけです。
M=単糖類はフルクトース(果糖)が問題です。
これははちみつや果物に含まれています。 果糖不耐症の人もいるらしく、特に「りんご」はほぼ食べないほうがいいと書いてあります。
P=ポリオール類は、ソルビートルやマンニトール、キシリトールです。
果物やきのこ類に含まれており、消化されにくい成分です。
キシリトールガムの包みに「腹がゆるくなる」などとかかれていることからもよくわかりますね。
過敏性腸症候群の人は、健康にいいとされる食品を摂るべきではない
さて、ここまでみてわかるように、いわゆる、健康にいいとされてきた食品の大部分は発酵食品であることがわかります。
そして過敏性腸症候群の人はこれらを摂るべきではなかったのです。
なんということでしょう。
「過敏性腸症候群を寛解させるために整調食を食べよう」と宣伝されたために、余計に症状を悪化させてしまった人たちを大勢うみだしてしまったわけです。
パンや豆、きのこやりんご、ヨーグルトなどは食べない方がいいのです。
これが一生食べられないかというとそうでもないようです。
江田氏がいうには「半年から1年ほどして腸内環境が整ってくれば、渉猟なら食べられるようになることもあります。歳を重ねることで、体質が変化して食べても不調が起こらなくなるケースもあります」とのこと。
またFODMAPはアレルギーとは違って、食べることを完全に除去する療法ではありません。
FODMAPに載っている食品を自分で試しながら、腹痛やガスがたまったりしないかを確認し、問題がなければ食べても構わないのです。
FODMAPを活用し、三週間、糖類を断食してみよう。
では、どうやってFODMAPを用いて、健康な腸を手にしていけばよいのでしょうか。
それは「低FODMAP食」を選んで三週間生活するというやり方です。
これで過敏性腸症候群の症状を三週間で七五パーセント改善できるそうです。
実際、医療を経済の面から評価する方法NNT(Number Neede To Treat、治療必要例数)=「何人に1人の確率で治療が有効であるのか)という治療効果を得るのに必要な人数を表した指標があります。
これによると、過敏性腸症候群の薬はNNTが4。4人の患者が薬を飲むと1人の患者の調子がよくなります。
低FODMAPのNNTは2・2。
2人の患者が実行すると1の患者が寛解するわけで、薬よりも医療経済上評価が高いとされています。
そういうわけで挑戦してみる価値はあるでしょう。
『腸を治す食事術』には何を食べていいのか、悪いのかが詳細にかいており、また三週間でやっていくべき手順もかいてあるので、必読です!
興味を持った方はぜひ購入して下さい。
ズンダも体験中
実は私ズンダもつい四日ほど前からこの方法を試しております。
パンやクッキーや納豆なども食べていません。
今のところ、そこまで変わった感じはしていませんが、三週間、きっちりやってみようとおもっています。
ただ問題はあります。
それは「食事の献立が難しい」ということです。
実際、おわかりの通り、納豆やパンやラーメンやうどんやスパゲッティなどが食べられないとなると、朝飯や昼飯に困ってしまいます。
今までの食生活をがらりと変えなければならないわけで、思っていた以上に大変です。
が、とりあえず、三週間は試してみますので、その辺りでまたお会いしましょう。
ズンダでした。
ちなみに江田氏は最近、新書もだしておられます。
こちらのほうが医学的な説明が多く、詳細に語っておられます。
しかし、FODMAPのみやすさは今回紹介した本のほうがカラー写真で一目瞭然なので、症状の改善を望む人には『腸を治す食事術』をお勧めします。
下の記事は以前に書いた記事。
しかし、FODMAPを使うまでもないというかたはどうぞ、参考に。