今回は男女の性差についての記事になります。
橘令『女と男はなぜわかりあえないのか』(文春新書)からです。
男は種を蒔きたい。女は子供を育てたい。
ナンパに対する男女の違い
ナンパは男性がするものという先入観がありますが、男性女性のどちらがナンパに応じやすいのかという研究があります。
1978年、社会心理学者のエレイン・ハットフィールドはフロリダの州立大学でクラスの平均年齢22歳の男女に決められた手順でナンパさせ、どのぐらいの人たちが応じるかの調査をしました。
実験は4年の間隔をおいて2回おこなわれ、男女それぞれ48人を参加者ナンパしました。
※ちなみにこういった実験に参加すると学生は単位が貰えるらしい。
この実験では以下の科白を参加者が任意で選び、それに対してナンパされた側がどう反応するかを調べました。引用します。
①今晩、どこかに出かけない?(デート)
②今晩、僕(私)の部屋に来ない?(デート)
③今晩、いっしょにベッドで過ごさない?(デート)
その結果が以下の図です。
意外なのはデートに応じる女性が五割を超えているということです。
ただし、セックスへの誘いに乗った人は誰一人としていませんでした。
男性の結果をみてみましょう。
やはり、というべきか、男性はアパートやベッドへのナンパにも過半数以上の人が同意しています。
このような実験は2000年代に入ってから、ベルギー、デンマーク、ドイツなどで行われましたが、結果はこれと同じだったそうです。
男性は見知らぬ女性とでも一夜を共にすることをあまり厭わない生き物なのですね。
恋愛はホルモンによる禁断症状
恋愛の付き合い始めとその終わり
我々は人に恋をしてしまうと、相手に夢中になってしまい他のことが考えられなくなりますね。
そのとき、私たちの脳から諸々のホルモンが出てきます。
脳科学者のポール・マクリーンは1990年に「恋愛や母性愛はドラッグ依存症と同じ」であるという仮説を提唱しました。
どちらもドーパミンが放出されることで飢餓感が出るからです。
この飢餓感は「欲しくて欲しくてたまらない」という状態のことで、決して満足することのない「渇き」を人に引き起こします。
勿論、恋に関係するホルモンはドーパミンだけではありません。
以下の図をご覧になってください。
恋愛の始まりから終わりまでがこれらのホルモンで説明することができてしまいます。
ドーパミンは恋愛開始から6~8ヶ月間ほどしかでません。
古代において、避妊法が未熟であったために、短期間の付き合いで子供が生まれ、お互いが愛し合えばすぐに子育てがはじまります。
今のように、ダラダラと付き合うなどという余裕も習慣も本来の人間はもちあわせてはいませんでした。
子育てしなければならないのにダラダラと恋愛気分を味わっている余裕など当時の人々にはなかったわけです。
恋愛は贅沢によって生まれた余剰物にすぎないというのは、ゾンバルトがいっていた通りで、男女の付き合いはそもそも生殖のためにあるのですから、ドーパミンによる刺戟が短期間なのもうなずけますね。
バソプレッシン(男性が射精した後に出る配偶者を守りたくなるホルモン)やオキシトシンやエストロゲン(愛着ホルモン。ドーパミンが出なくなった後も愛情を感じる度に放出されるので、恋愛を長続きさせるために必要と考えられている)なども恋愛中にでます。
これらのホルモンが出ることによって男女は恋愛、そして結婚へといたるわけです。
よって、今、恋愛を始めたばかりの男女はドーパミンがで終わる6~8ヶ月後に別れるかもしれないということを覚えておくべきでしょう。
そして、長期間付き合うにはアドレナリン以外のホルモン、バソプレッシンやオキシトシンが出るような関係作りに励まなければならないのです。
痴女は世の中にいるのか?
エロい女は大部分は男性の妄想
私たちの周りには子供がみるにはあまりにも刺激的な情報が沢山ありますね。
中には淫奔な女性が男性とまぐわうようなものもあります。
ところで、こういった女性はそんじょそこらにいるのでしょうか。
図は欧米各国の調査をまとめたものらしく、ここから橘氏は「女の人はテストステロン(性欲の強弱に関係する)が男性より低いし、そもそも、セックスで気持ちよくなることに興味がない」というふうにまとめておられます。
また、「感じにくい女性の特徴」については、ティム・スペクター『双子の遺伝子「エピジェネティクス」が2人の運命を分ける」を引き、「強迫性行動、過度の潔癖性、不安、共感力の低さといった特性のある女性は性の問題を抱えやすく、オーガズムに達しにくいとされる」とも述べておられます。
男性と女性とではセックスに対する欲求や得られるモノなどが異なるのですね。
それゆえ、アダルトビデオなどで描かれている女性像はあくまでも男性によって想像された産物にしかすぎない、といえそうです。
※とはいっても、「女性が感じやすい男性の特徴」という研究も本書では紹介されている。「対称性」と「金持ち」がキーワードだが、詳しくは今回消化した橘氏の本でどうぞ。
終わりに
本書ではこの他に数多くの男女の違いが語られており、我々の固定観念や疑問や妄見を打ち破ってくれることでしょう。
今回紹介したのがたった3つですが計32の男女差がまとめられているので、どう異性と付き合うべきかで悩んでいる人などにお勧めできる本です。
ではまた、お会いしましょう。
ズンダでした。