「やりたいことってなんだろう?」
そんなことを考えているあなたに良い本があります。
八木仁平『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』です。
私たちは子供の頃から大人になっても
「やりたいことをやれ」
「すきなことをやれ」
「自分がしたいことを仕事にしろ」
などとよくいわれますね。
私ズンダが散々批判している自己啓発本にはそういうことが必ずかかれています。
しかし、「やりたいことってなんだよ?」と、何も出来なくなっている人たちは多いのではないですか。
私ズンダなども子供の頃、大人から「やりたいことはなんだ?」といわれて絶句した記憶があります。
「特になかった」からです。
今回紹介する八木氏の本はこの点を具体的に詰めた本です。
もしかすると、この本を読むことであなたの問題は解決するかもしれません。
本の内容を軽くみていきましょう。
「やりたいこと」の新定義
やりたいこと探しの迷信
1. 「一生続けられること」でなければいけない
2. やりたいことを見つけた時には「運命的な感覚」がある3. 「人のためになること」でないといけない
4. 見つけるには「たくさん行動する」しかない
5. やりたいことが「仕事」にならない
さて、これら5つのことはよくいわれますね。
八木氏にいわせれば、全て間違っているそうです。
正しくは次のようになります。
「やりたいこと」を探すための道順
1:今一番やりたいことをやれ
人生一〇〇年ともいわれる時代です。私たちが今やりたいことは将来もやりたいと思えるのでしょうか。
今好きなことも趣味も、数年数十年経つとだんだん飽きてきます。
それなのに「一生続けられること」でなければ「やりたいこと」に数えられないのはおかしい。
「一生」ではなく「今」に注目しましょう。
今自分がやりたいことでいいのです。
2:やりたいことは興味レベルでいい
「運命的な感覚」なんていりません。
そんな感覚はめったにありません。
八木氏は「恋愛結婚」と「お見合い結婚」どちらが満足しやすいのか?という研究をあげています。
この研究では短期的には「恋愛結婚」のほうが満足度が高いのですが、長期的には「お見合い結婚」のほうが優勢になっております。
八木氏は、この研究から「やりたいこと」は「軽い興味」でいい。
最初から「運命」など感じる必要などないと結論づけています。
「最初の段階は軽い興味でいい。あとは自分が育てていけるかどうか」のほうが重要だということです。
ですから「自分にぴったりの仕事がある」は幻想であり、軽い興味から自分のやりたいこと探しをしよう、ということです。
3:自分のために生きる
「やりたいこと」を考えるときに人のことなど考える必要などありません。
自分のやりたいことに人が絡む余地などあるわけがありません。
自分と他人は異なる人であり、好きな食べ物も嫌いな食べ物も違います。
当然、「やりたいこと」も全然ちがいます。
「やりたいこと」をやった結果「人のためになる」はありえても、その逆はありません。
ここを間違えて自己犠牲の精神を発揮しても、あなたが幸せになることはありません。
自分をしっかりみましょう。
4: 行動しまくるのは効率が悪い
人間は選択肢が多すぎると思考停止状態に陥り、どれかを選ぶことができなくなります。
「ジャムの法則」をご存じでしょうか。
本書より引用します。
スーパーの試食でジャムを24種類準備したら、試食して購入した人は3%しかいませんでした。そのジャムの種類を6種類に減らしたところ、試食して購入した人がなんと30%に増加したのです。
人は、選択肢が多いと「選択しない」という選択をします。だから24種類のジャムは売れないのです。
ではどうすれば、「ジャムの数」を絞れるのでしょうか?
大事なのは次の二つです。
1 選択肢
どんな種類の仕事があるのかをみつけておきます。
2 選択基準
自分はどんなことをしたいのか。
自分の中身をしっかり分析し、そこから何かを選択していきましょう。
「自己理解」が大事なのです。
やりたいことは自分の中にあり、実現手段は社会にある。
「やりたいこと」を自分理解を深めてみつけましょう。
この段階で「どうやって実現するのか」は考えないようにしましょう。
これはもっと後になってから、試行錯誤して実現手段を見つけるのです。
「やりたいこと」探しを終わらせる公式
「やりたいこと」を見つけるためには自己理解が必要です。
その自己を分析する方法は次の三つの柱を利用します。
1 好きなこと=ずっと情熱のある分野
2 得意なこと=自然と他の人よりもうまくできてしまうこと
3 大事なこと=自分の価値観。(自由に生きたい、人に優しく生きたい、安心していきた)
この三つです。
ここから次の二つの公式がうまれます。
1
好きなこと×得意なこと=やりたいこと2
好きなこと×得意なこと×大事なこと=本当にやりたいこと
「やりたいこと」とは結局なに?
公式1の段階
以下の図をみてください。
この図を八木氏は次のように説明しておられます。
「やりたいこと」は「What(何を)×How(どうする)の組み合わせです。
「What=好きなこと」で「How=得意なこと」です。
What=ファッション
How =物作りをする
What×How=ファッション関連の物作りをする
多くの人は「What」だけを考えた結果、仕事選びを失敗します。
「食べ物が好きだから食品業界に入ろう!」だけではダメなのはそういうことです。
その会社での自分の役割が「得意なこと」でないと仕事は苦痛でしかありません。(中略)「やりたいこと」を考える時は、具体的な仕事内容(How)も自分に合っているのかを考えるのが大切なのです。
つまるところ「やりたいこと」とは「すきなこと」と「才能」との共通集合といえるでしょう。
「大事なこと」も考えよう
公式2をみてみましょう。
これこそ八木氏が最も大事にしているところです。
「本当にやりたいこと」といわれています。
どんなに自分の好きなことと才能とがかみ合った場所で仕事をしていたとしても、あまりにも忙しく「自由に生きたい」という「大事なこと」の部分が潰されていた場合、「やりたいこと」から離れていると考えるようにしなければいけません。
「大事なこと」=Why=何のために生きるか、という人生の目的であり、同時に「仕事の目的」=周囲の人、社会をどんな状態にしたいか?
につながっていく。
よって、「やりたいこと」の最終段階は
「好きなこと」×「得意なこと」×「大事なこと」の掛け合わせなのです。
この三つの組み合わせを意識すれば、企業面接でも簡単にこたえられる。
好きなこと→なぜこの業界なのか?
得意なこと→どうやってこの仕事で成果をだすのか?大事なこと→なぜこの会社なのか?
このように三本柱は、生きていく上で、自分が何者なのかを表現する基礎になっているといえます。
終わりに
今回紹介した本は如何だったでしょうか。
この本は「自己啓発本」にかけていた「具体的にどうすれば自分のやりたいことがみつかるのか」に言及しており、高校生や大学生、あるいは転職を考えておられる方にも役に立つ本です。
八木氏は「やりたいこと」の意味を三本の柱に分けることで、単なる欲求の次元から、社会で実際に活かすための現実に落とし込むことに成功しています。
今まで漠然と「やりたいことってなんだろ?」と考えてきた人たちも、この本を読めば「やりたいこと」の意味がわかるでしょう。
更に、この本では巻末に「自己理解実践ビジュアルフロートチャート」や「大事なことをみつける30の質問」や「得意なことをみつける30の質問」など、自分が「やりたいこと」を発見するために役立つチャートや質問などがびっしりと書いてあります。
空疎な「自己啓発本」とは異なる中身のある八木仁平『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』(KADOKAWA)をどうぞお読みになってください。
必ずやあなたの人生に光明がふりそそぐことでしょう。
では、またお会いしましょう。
ズンダでした。
次に紹介する本は小山聡子『もののけの日本史』(中公新書)です。
*1:※得意なこと=スキル知識、ではない。
スキル知識は、後天的に身につけたものであり、限定的に役立つ能力ことを指します。
たとえば、プログラミングのスキルは要らない人にとっては全くに役に立ちませんよね。
得意なことは先天的なもの、才能です。
皆さんも「これは自然にできてしまう」といったものを一つぐらいもっていませんか?
私ズンダは文章を読んだり書いたりすることは子供の頃から造作なくできました。
それゆえ、未だにブログなどをかいているわけです。
自分の才能に従っているわけですね。