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「もう後悔したくない」と思っているあなたへ!『後悔を活かす心理学』(中公新書)を紹介する!!

 

 

 

 誰にでも後悔ってありますよね。

 

 私ズンダにも多くの失敗とそれに伴う後悔があります。

 

 「あのとき、ああしていれば今と人生はちがっていた」

 

 そういう一つ一つの選択を思い返すと、私たちの心は痛み、悲痛に襲われます。

 

 そんな後悔はどうして起こるのでしょうか。


 そしてその後悔の無い人生を送る方法とはあるのでしょうか。

 

 今回紹介する本は上市秀雄『後悔を活かす心理学』です。

 


 この本は「後悔」に焦点を絞っており、私たちの誰もが持っている辛い気持ちへの解決策がかかれています。

 

 後悔にさいなまれる毎日を過ごしているあなたにとって本書はきっと役に立つことでしょう。

 

 

 では、見てみましょう。

 

後悔とは何か?

 

 学問的には後悔は何を意味するのか?

 

 後悔についての研究は1982年にLoomes,G.,&Sugden,R.(1982).Regret theroy:An alternative theory of rational choice under uncertainty.The Economic Journal,92.805-824.によって提唱された「後悔理論」といわれるものがあります。

 

 これは「人間の意志決定は、後悔感情を最小化する」というものです。

 

 人は後悔しないように行動しがちである、ってことですね。


 この理論を上市氏は次のようにまとめておられます。

 

 後悔とは、ある意志決定をするときに各個人が持っている「この程度の結果は得たい、得られるかも」という何らかの基準(予想や期待)と、その意志決定をした後に得られた結果とを比較し、得られた結果がその基準に達しなかった場合に生じるネガティブな感情といえる。

 

 非常に納得できる説明でしょう。私たちが思う「後悔」の定義と違和感がないとおもいます。

 

 後悔には二つある

 

 さて、この「後悔」ですが、二種類あります。

 

① 過去展望の後悔
② 未来展望の後悔

 

 

 ①に関しては「あのとき、ああしておけば」の後悔です。

 ②に関しては「複数の選択肢から何かを選んだことを想像する後悔です。」

 

 たとえば、第一志望の大学と第二志望の大学があったとしましょう。

 

 当然、第一志望に受かればいいけれども、第二志望になってしまう可能性はあるわけです。

 第二志望のみに合格した自分を想像すると「ネガティブな感情」がでてきますよね。
 
 このように経験していないが、想像するだけで後悔した気持ちになることを

「未来展望の後悔」といいます。

 

 結果に対する後悔とプロセスに対する後悔もある

 

 また、後悔は

 

 ③「結果に対する後悔」
 ④「プロセスに対する後悔」


 
 の二つにも分けられます。

 

 つまり、全部で四つの分け方があるということです。
 
 ③は「他を選んでおけばよかった」という選択を間違ったことへの後悔を指します。
 
 ④は「もっとよく考えて決めるべきだった」「全力をつくせばよかった」「努力しておけばよかった」などの後悔です。

 

 たとえば、Aという店舗で「かわいい服」をみつけて購入したとします。

 

 しかし、次にBという店舗に入ったら、「同じような服がもっと安い値段でうっていた」という場合を想像してみましょう。

 

 私ズンダは服が好きなのでこういうことがしばしばあります。

 

 このとき、直感で決めずに色々考えれば良かったと後悔するわけです。

 これがプロセスに対する後悔です。

 

 簡潔にいうと「比較検討をサボった後悔」ともいえるかもしれませんね。

 色々見て回っていれば、こんなことにならなかったのですから。

 

 またこの後悔は結果に対する後悔よりも重いといわれています。

 

 ツァイガルニク効果(Zeigarnik effect)という「人は、最後まで達成できた事柄よりも、達成できなかったことや途中でやめてしまったことのほうを、よく覚えている(あるいは思い出しやすい)」という現象のことである。

 

 たとえば、資格試験を中途半端な状態で投げ出してしまったり、付き合えそうだった相手を逃してしまったりした場合を想像すればよいでしょう。

 

 やるかやらないかが大事なのか?

 

 さて、後悔とは何かについてみてきました。


 ここから上市氏は「できるかできないかではない、やるかやらないかである」というよくある言葉の正しさを考察しています。

 

 結論をまとめると後悔は次の順番で増えます。

 

「やって、できた」

→「やって、できなかった」

→「やらなくて、できた」

→「やらなくて、できなかった」

 

 

 これまでの記述と照らし合わせれば、「やったほうが、やらないよりはマシ」というのは事実だといえますね。

 

 無限の後悔はありえない

 

 ところで、ここまでみてくると後悔しようと思えば、無限に後悔できるのでは?と考えてしまうのではないでしょうか。

 

 私たちは細かく検討すれば、いくらでも後悔までの道筋を挙げて、何十点もの「後悔点」を作り出せる気がします。

 

 しかし、安心してください。

 

 ありがたいことに脳は多くを記憶できません。

 

 約7±2ぐらいの概念しか一度に扱うことができないといわれていたのです。

 

 これをマジカルナンバー7プラスマイナス2といいます。(The magical number seven,plus or minus two)。

 

 最新の研究によれば4±2といわれているそうです。

 

 要するに無限に後悔点があったとしても、記憶力のおかげでそれを軽減することができているわけですね。

 

 意志決定に関わる「反現実仮想的思考」とは?

 

 私たちは物事を考える際に「もしも、○○だったらどうなるだろう」という思考をしています。

 

 これを反実仮想といいます。古典文法を倣う際にきいたことがあるでしょう。

 このもしもには二種類あります。

 

①上向きの反実仮想的思考
②下向きの反実仮想的思考

 

 

 字面から明らかなように
 
 ①はポジティブな「もしも」を想像することです。

 ②はネガティブな「もしも」を想像することです。
 
 この二つのどちらも良い悪いはないということに注意が要ります。

 

 ポジティブな反実仮想は不幸をうむこともある

 

 Youtuberに「ポジティブ信仰」をもった人などがいますが、あれは単なる宗教です。

 

 ああいうのをみて「ポジティブならOK」と考えないでください。

 

 実際はこの二つは時と場合によって使い分けたほうが得です。

 

 これに関する研究があります。

 

 五輪のメダリストを対象にしたものです。

 

 銀メダリストは銅メダリストよりも達成感や幸福感を得られていない、というものです。


 これは①上向きの反実仮想的思考のせいです。

 

 つまり、銀メダリストは

 

「あと少しで、金がとれたのに・・・」

 

 という上向きの思考をしているせいで、かえって「不幸」になってしまうわけです。

 

 逆に銅メダリストは②の下向きの反実仮想的思考(現状よりも悪い結果。四位以下になることを想像した。)をしているので「幸福」になっているのですね。

 

 このように下向きを想像することで満足感を得られることもあるのです。

 

 ポジティブにも意味はある

 

 では、上向きの反実仮想には意味がないのでしょうか?

 

 実はこれはこれで私たちにとって利得があります。

 

 大学生にテストを受けさせる実験によれば、

 一回目のテスト成績に対して上向きの反実仮想を行った学生のほうが、

 二回目の成績や満足感が多かったことがわかっています。

 

 ここから上向きの反実仮想には

 

「自分の成績が以前よりもよい方向へ変化している」

 

 というパフォーマンスを上げる価値があるということがわかります。

 

 なぜ、「後悔」について知ることが大事なのか?

 

 私たちは将来に起こることやその結果などについて色々と考えたり悩んだりします。

 

 しかし、それゆえにこそ

 

 「じゃあ、不幸にならないためにはどうすればいいんだ?」

 

 と考え、それに対して「対策」を練るからです。

 


 ここに今回の「後悔の活かす心理学」という本の価値がでてきます。

 

 私たちは「後悔」とは何なのかをまず定義し、その上で、後悔が起こる過程や反実仮想などによる後悔の受け止め方や対策法などを思いつけるようになるわけです。

 

 

 これがもし本書のようなモノがなかったら、「後悔」について分析できず、それに振り回されるだけになってしまうでしょう。

 

 

 私ズンダもこの本を読んでから

 

「後悔とは何なのか。そして後悔を起きづらくするためにはどうすればいいのか」

 

をまともに思考できるようになりました。

 

 すると、新しいことに挑戦しやすくもなりますね。

 

 何かをする前に熟慮する。

     ↓

今から○○をするが、それは自分にとってどういう意味があるのだろうか。

     ↓

このやり方は最適だろうか。他に選択肢はないだろうか。

     ↓

失敗したらどうなるのだろうか。

     ↓

そうならないために最善をつくさなければならない。

     ↓

ああ、失敗してしまった。でも、この失敗からくる後悔は何も考えていないよりはマシなのだ。

     ↓

そして、この後悔を活かすにはどうすればいいのだろうか。

 

 これが「後悔」の機序です。

 そして、本書を読むと、この機序のそれぞれに研究や理由などがあり、胸にストンと落ちます。

 

 後悔が起こる理由やそれに対して自分の脳がどのように動くのかが今やはっきりとわかっているわけです。

 

 自分を客観的にみるためにはこうした知識が必要です。

 

 また、本書では終章にそれまで説明してきた後悔という現象を回避や対処するための方法が載っております。

 

 自分の性格・思考の携行性、および現状を把握する
 多種多様な情報・知識を収集する
 選択肢は多すぎないようにする
 熟慮して決める
 予期後悔・反実仮想的思考をする
 行動する/やりきるという選択をする
(特に迷ったとき)

 

 

 これは本書の実用的な側面といえるでしょう。

 

「いつも悩んでうじうじしてしまう。」
「後悔するから何もしたくない。」

 

 という方々はぜひこの本を読んで下さい。

 

 読書前と後とでモノの考えが変わること間違いなしの本です。

 

 では、またお会いしましょう。
 ズンダでした。

 

 後悔しないための人生へーこの後読むべき、役に立つ本をすすめるー

 この本で「後悔」について学んだ人は以下の本で「具体的にどうすればいいのか」を学んだ方がよい。

 

 私はブログにおいて普段からメンタリストDaiGoの本をすすめている。

 

 前に「なんで、DaiGoをすすめるんですか?」

 

 と言われたことがあったのだが、他に類書がないからというだけである。

 

 彼がいっていることは他の本でも書いてある。

 

 しかし、他の本は読みやすくない。

 

 いってしまうと、実践しやすいように記述されてないのである。

 

 同内容のものを高踏的に書いているだけなので、DaiGoの本をおすすめする。

 

 DaiGoの本がどこまで有用なのかは正直言うと分からない。

 彼の書いた「勉強の仕方」という本に関して反論があるらしく、kindleでそれを出版している人がいる。

 

 しかし、どの人の本も間違いはあるし、しかも時間がたてばたつほど「あの研究、証明されないらしい」というのが出てくる。

 

 だが、それは今の段階を否定することにはならない。

 

 そんなことをしたら今の学説や教科書にのっていることなど間違いだらけなので、

 勉強を放棄していいことになる。

 

 たとえば日本史だと階級氏闘争史観によって農民の一揆が解釈されていたが、現代の日本史の研究では異なる。

 

 これは呉座雄一(『一揆の原理』)や若尾 政希 (『百姓一揆』)などでかいていることである。

 

 

 つまり、実証的な研究だとされる歴史研究すらも、その時代によってその方法が変わり、解釈が変わってしまうのだ。

 

 ちなみに戦前の日本の研究も同様らしいことは筒井清忠が『昭和史講義』(ちくま新書)の中で触れている。

 

 同様に高校の科目に「歴史総合」という新しい科目が組み込まれた。記述の方法で歴史がどのような姿を見せるかについては以下の本をおすすめする。

 

 

 となると、つくる会のメンツが「今の教科書は左翼による歴史観だ」といっていたのは一部正しかったということになる。

 

 結局、その時代に制約されているし、その中で「マシ」なことをやるしかない。

 

 そもそも、私は基本的には努力主義が嫌いで「人間なんてうまれで決まってる」と考えているのだが、何もしないよりはマシを選ぶべきだとも思っているので、マシな選択をすすめたい。

 

 またこの「マシ」の話は今回の「後悔」についての本からもわかるように後悔しないという点でも「マシ」なのである。

 

 

 

zunnda.hatenablog.com

 

 

 

 

 更にDaiGoの本についていうと、こういった新書と相性がよい。

 

 たとえば、今回は「後悔」についての本であった。

 

 すると、私たちにとって必要なのは

 

「後悔しないために、うまくヤル」

 

 ことであるとわかるだろう。(本記事の「やるかやらないかが大事なのか?」をみてほしい。)

 

 今回、「後悔」についての機序は学べた。

 また後悔を減ずるための方法も知ることができた。

 

 しかし、「成功していれば後悔は少ない」ことも確定した。

 

 すると、「成功する方法」が必要になる。

 

 勉強や仕事をうまくこなしたい。段取りをよくしたい。

 そういったことである。

 

 そのためにはやり方を学ぶしかない。

 

 少し別の人の話になる。

 最近読んでいて思ったことだ。

 

 この手の人間を改良するという考えは、ジョセフ ヒース が『啓蒙2.0』(ハヤカワ文庫)でいってるのと同じである。

 

 

 ヒースが頼ったのは結局は行動経済学の知見であった。

 彼がこの本の中で述べているのは保守主義の偏見に価値があるとしながらもそこに左翼の合理性をもたせることで人類社会を進歩させるということである。

 

 そのために彼が持ち出してきたのはトーバスキー&カーネンマンが提唱した「ヒューリスティック」であった。

 

 この「ヒューリスティック」は心理学系の本を読んだり、それこそメンタリストDaiGoの本を読んでいても頻繁に目にする。

 

 ヒースとメンタリストDaiGoを並べられて不愉快に思う人がいそうだが、行動経済学の知見を借りていることは同様なのでしょうがない。

 

 それと私ズンダには一人一人の著作家にそんな思い入れはない。

 これは読書量の問題というよりも「作者量」とでもいうべき問題なのだとおもう。

 

 ヒューリスティック云々の本は、私のブログでも紹介したので記事をはっておく。

 

 

zunnda.hatenablog.com

 

 

 つまり、人間にはバイアスがあり、環境の影響を受けやすく自由意志などを頼りに情熱や集中力をもって物事を判断していくことができない、というものだ。

 ↓バイアスに関する本。この手のバイアスに触れた記述が最近はどの本を読んでいても多い。バイアス流行といってもいいかもしれない。やや食傷気味である。が、知っていて損はない。

 

 

 そこから、行動経済学では「人を動かすための方法」について語られるようになる。

 

 人は何かを禁止されるとそれをやりたくなる。これをカリギュラ効果という。

 「たばこは禁止!」といってしまうと、逆に喫いたくなる。

 

 そのため、「人がそれを自分の意志でえらんだ」というふうにしなければならない。

 

 これを選択アーキテクチャという。

 

 つまり、それを自分でしたと思わせるような環境作りをしてやる、というものだ。

 

 たとえば、コンビニでレジに並ぶ際に矢印のシールが床にはってあるだろう。

 

 あれなどはいい例である。

 

 で、この選択アーキテクチャによって「マシ」になるなら、それでいいではないかというのが私ズンダの考えである。そういう点で、ヒースに同意する。

 

 というわけで、これからはしつこく「役に立つ本」を紹介する。

 それも何度も何度もである。

 

 私にとっても小遣いになるし、このブログを読んでいる人にとっても本を選ぶ面倒から解き放たれていいとおもう。

 

 ↓行動経済学のアンチョコ本。値段も安いし、まとまっていて便利。

 

 

 

 

 

 

 長くなってしまったが、選択アーキテクチャを発動させるための本を紹介する。

 

 ぜひよんでもらいたい。

 

 

 

 

 

 

 

『超一流になるのは才能か努力か?』はDaiGoとは関係ないが、個人的にはかなりおすすめの本である。

努力主義者の方にすすめる。

 

 

 

zunnda.hatenablog.com

 

 また、何かをする際に「モチベーション」が大事になるので、それに関しても紹介しておく。

 

 

 

また、Kindleもすすめておく。基本的にKindle本のほうがもう安いことが多い。 アンリミテッドで読める本もある。