みなさん、こんにちは。
今回は
陰謀論の論が流行る時代
陰謀論とは何でしょうか?
皆さんもQアノン、ディープステート、反ワクチン、コロナウイルス生物兵器説などをきいたことがあるかもしれません。
インターネットではまことしやかにこれらの風説が書かれており、何かに疑いをもって調べ始めるといつのまにか信じ込んでしまう。
陰謀論を「重要な出来事の裏では、一般人に見えない力がうごめいている」と考える思考様式であると定義しておきたい。
と秦正樹氏は述べておられます。
たとえば、
「コロナのワクチンにはマイクロチップが入っており、人々の生体情報を獲得する陰謀だ!」
みたいな話のことです。
陰謀論と誤情報との違い
もちろん、メディアが誤情報を流してしまうことはあります。
しかし、これは誰かが検証すれば修正できます。
今だとTwitterなどですぐに
「この報道はウソではないか?」
というツィートが拡散され、訂正を迫ることができます。
しかし、陰謀論は違います。
早期に検証して誤りを正すのが難しいのです。
「何かあるから検証できないのだ」という「何か」をもってくることで陰謀論はその闇が深くなっていきます。
皆さんも「何か」には気をつけた方がいいでしょう。
実際は「何もない」のです。神のようなものです。
陰謀論の発信者には金目当ての人たちがいる
当然、陰謀論を信じ込ませるには陰謀論者による発信が必要です。
彼等の中には本当に信じている人々もいます。
しかし中には
「陰謀論をばらまくことで金が得られるからやる」
という人もいるのです。
所謂、アフィリエイトですね。
この広告収入はアクセス数が多いほどのびます。
マケドニア共和国の地方都市ヴェレスには200~300人の若者が偽情報の記事をつくりだして。Facebookのシェア機能を使い月60万ほどの広告収入を得ることもあるそうです。
ある意味で陰謀論にはまってしまった人は被害者ともいえるわけですよね。
そもそも陰謀論にはまる人ってどんな人?
陰謀論にはまる思考の持ち主を
「陰謀論的思考」(conspiracy thinkingu)
などといいます。
要するに、陰謀論を信ずる人はそういう思考形式をそもそも持っていると考えられているのです。
そのため、彼等はAという陰謀論を信じるだけではなく、Bという陰謀論にもはまります。
日本人の三割は陰謀論者
秦氏は2001名を対象にアンケート調査をおこないました。
日本にどれだけの陰謀論的思考をもった人間がいるかを調べるためです。
すると3割だという結果になりました。
更に言うとこれらの調査には
「社会的期待迎合バイアス」
または
「社会的望ましさバイアス」(Social Desirablity Bias)
とよばれるバイアスがかかってしまうといわれています。
このバイアスは今回の例でいうと
「このアンケートに『はい』と答えると、陰謀論者に思われるから、『いいえ』と答えよう」
という社会でおかしい人と思われないようにするためにウソの答えを述べてしまうバイアスです。
皆さんも「選挙にいきましたか?」と街頭インタビューを受けた場合、
行ってなくても「はい、いきました」と答えてしまいませんか?
このバイアスを念頭に入れると日本における陰謀論者は三割を超えているかも知れません。
陰謀論にはまる人の性質
では、陰謀論的思考とはどうしてうまれるのでしょうか?
そもそも、陰謀論を信じる人々は、今、目の前で起きている出来事や状態を是認できないという強い考えや意見を持っている場合が少なくないことが既存の研究でも明らかになっている。
というように、自分の理想と現実とがかけ離れていると感じやすい人ほど陰謀論にはまります。
ここまでくれば、私ズンダのブログをいつも読んでいる方は気づくかも知れません。
この歪んだ現実認識は「自分だけが真実を知っている」という考えに切り替わります。
そしていつしか、周囲から邪険に扱われるようになり、孤立します。
孤独感はやがて、多くの人は「真実」をわかっていないという考えにつながる。
それと同時に、「真実」を知っている自分は、自分を評価しない他者よりも優れているという自己評価が進み、さらにその思考を深めていくことになる。
実際に、海外の研究では、ナルシズム(自己の評価を誇張したがる傾向)が高い人や、社会的に疎外されていると感じる人ほど陰謀論を信じやすい傾向にあることが報告されている。
危険な特徴としては「真実がある。本当の何かがある」という理想的な像をもっていることでしょう。
いってしまえば、アイドルですね。
アイドルは糞便しないとか彼氏がいないとかそういうのを愚直に信じている人がこういった陰謀論にはまるのです。
政治に興味のある人は陰謀論にはまる
実は政治に興味があるほど陰謀論を信じる傾向にあることがわかっています。
というか、人にはそれぞれ自分が興味関心を強くもっている分野があり、好みがある。
そして人は自分が好きな情報を選びがちであるという政治コミュニケーション研究において、「選択的メカニズム」というものがあります。*1
たとえば、あなたがAKB48を好きだったとする。
彼女らが何らかの不祥事を起こしたとしましょう。これをAとします。
しかし、彼女らのことが好きなあなたはその不祥事を受け止められない。
その報道をしたメディアによる虚報ではないか?という情報Bがそこに流れてくる。
あなたはBを選びとる。
Aを選べばAKB48が不祥事を起こしたことになるからです。
これが人の選択的メカニズムです。
つまり、私たちは自分の好きなものに関しては情報を得て、「信じていたい」のです。
だから政治に興味がある人ほど陰謀論にひっかかりやすくなります。
もちろん、これは政治に限ったことではないです。
ここが大事です。
私を含めて、誰でも陰謀論に落ちる可能性はあります。
陰謀論と批判を同一視してはならない
しかし、私たちにとって大事なことがあります。
それは「陰謀論ではないか?」という他人からの批判を恐れてはならないということです。
たとえば、ある政党のある政策がまずいものだったとする。
これを「真」だと仮定しましょう。
その政策は日本全体にとって害なので、国民は止めなければならないはずです。
団体Aは日本のために政党を批判します。
しかし、その政党を好きな団体Bが
「団体Aがいうことは陰謀論にすぎない!この政党がやろうとしていることは正しいんだ!」
という反論してきたとしたらどうでしょうか。
当然、陰謀論ではないのですから批判することは正しいはずです。
けれども、何かを批判することが自動的に「陰謀論だ」と思ってしまうのであればそれはあまりに単細胞といわざるを得ないですよね。
物事は検証して「真」か「偽」かを見極めなければならないのですから。
陰謀論の存在を問題視することの必要性や重要性はあらためて言うまでもないのだが、その一方で、「それが本当に陰謀論であるか」についても、それと同じくらいによく注意を払わなければならないことも強調しておきたい。
つまり、自分とは対立する意見に対して、それが正統な批判かどうかを吟味することなく気に食わない意見を「それは陰謀論だ」とラベリングして、意見を封殺してしまうことにつながる。
お互いに陰謀論ではない議論ーいわば、「まとも」な議論ーをしている場合であっても、どちらかが「それは陰謀論だ」と決めつけてしまえば、まさに「論破」したような錯覚に陥ることになる。
私ズンダはこの本でもっとも読まれるべきはここだと思っています。
「それは陰謀論でしょw」という安直な思考や批判は別の側からみた陰謀論にすぎない。
マスメディアのほうがわけのわからないインフルエンサーよりは信じられる
それなら、誰を信じればいいんだよ!といいたくなるでしょう。
わかります。
著者の秦氏はマスメディアの危険性を指摘しつつも、しかしマスメディアのほうが正確性が高いといっておられます。
私ズンダも基本的にはメディアのほうがマシだと思っている人間です。
というのも、
ネットをみていると、メディア批判は実に旺盛におこなわれています。
また彼等の情報の何が間違っているかもTwitter状で頻繁に注視されています。
「マスゴミ」という侮蔑語も誕生したり、朝日毎日新聞は売国新聞とよばれたりしています。
彼等は一定の人々から監視対象にはいっており、その真偽を疑われています。
翻って、個人のwebサイトやブログなどはどうでしょうか?
私は一部のTwitterアカウントを除けば、インフルエンサーなどの信憑性は検証されていないとおもいます。
彼等の中にはマスコミを叩き、それを隠れ蓑にして自分の権威性を上げている人々がいます。*2
集団に影響を与えるのはその集団の知識人枠である
私が以前読んだ本に『マスメディアとは何か?』というものがあります。
この本はマスメディアの影響力に関する実験を紹介した手堅い本です。
メディアに疑いのまなざしを向けている人々にはぜひ読んで頂きたいのですが、メディア叩きにアイデンティティを得ている人にとっては耳が痛いかもしれません。
その本にかいてある実験結果によると、人はメディアの影響を受けて考え方を変える人は殆どいません。
では、誰の影響をうけるか?
集団Aがあったとしましょう。
その集団Aには色々な立場、階層があります。
知的な人間からそうでない人まで・・・・・・。
人は集団の中で、知的であり進取的な発言をする人物の意見を信じ込み、自分の意見をその長の意見に変えてしまうことがわかっています。
要するに、メディアよりも集団Aの知識人のほうが影響力があるのです。
これを当てはめると次のようになります。
Twitterでマスメディアを叩いている集団、その集団の知的な人物の意見に人は染まる。
ということです。
この観点からTwitterをみると面白い
これをわかった上でTwitterをみてみてください。
どの集団にも知的な人物、リーダー的な存在がいます。
そしてその集団は、その長の発言を支持し、応援します。
更に、その長を批判した人物や見解を徹底的に集団で難じます。
この実験はむしろTwitterで観測しやすい。
陰謀論の問題はむしろ人々の「マウントを取りたい」という気持ちにあるのではないか。
そんなふうに思われます。
「何事もほどほどに」という教訓について触れた。それに加えて、「自分の中の正しさを過剰に求めすぎない」という姿勢こそが、今の社会に求められているように感じられてならない。
ある意味で言うと、そんなに真剣にならないほうがいいのかもしれません。
私たちは真剣になって調べたりすればするほど陰謀論にはまってしまうのですから。
もっとしりたい人向けの本
陰謀論と絡むのはメディアである。
メディアへの不信感が私的なブログやインフルエンサーなどへの傾倒をうんでしまっているところはある
しかし、ここはメディアを叩く前にメディアについて勉強した方がいいというわけで、以下の本をすすめる。
陰謀論にしても何にしても、まず自分の行動がどんなものなのかをふりかえることが大事なのではないだろうか。
自身を客観的にみることで、冷静になる部分はある。
「正義」にはまりすぎてないか?
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