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『貧困とは何か ――「健康で文化的な最低限度の生活」という難問』を紹介する!



 

憲法25条「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」に
日本国民は達していないと主張する著者・志賀信夫による「貧困」概念の歴史と
「貧困」の根絶について書いた本。

 

 



 


絶対的貧困」→「相対的貧困」→「社会的排除」という発展過程があるといい、
絶対的貧困の理論を提示したチャールズ・ブースなどを紹介する。


ここでの紹介で大事なことは彼は、
「階層の問題に触れてはいても、
階級の問題には触れていない」ことにあると志賀は述べる。


ちょっとこの辺りで、ややきな臭く感じてしまう。
というのも「階級」となるとマルクス主義
を思わせるからである。

 

ブースの行動自体は評価されているが、彼の問題点は「階級はそのままでいい。階層固定を問題視したこと」というわけである。

 

ここから更に章を進めると、志賀の問題意識は「階級の根絶」にあり、

そのためにはマルクスの力が必要だという話になっていく。

 

後書きにおいて、マルクス研究者の佐々木隆治に教えを請うたといい、生産関係論から見直すことを訴える第五章が「書けなかった」というが、それはマルクス的な考えではどうにもならないというのを自覚してたからなのではないかとおもってしまった。

本当にマルクスに価値があると思っているのか不思議に感じる。


私はこの本を読んで、とある文章を思い出していた。
経済学101というサイトに載っている
ノア・スミス「経済学者はマルクスを読むべきか?」と
ジョセフ・ヒース「学問としてのマルクス主義はなぜ凋落したのか」を思い出していた。

econ101.jp

econ101.jp


どちらも無料で読めるので検索してみるといいが、
この2人がいっていることは、

マルクス主義でなくとも、経済学者は市場の失敗の問題などについて色々いっており、なんでそれらを無視して、マルクスに飛びつくの?もっと経済学の勉強をしたら?」

 


ということである。


貧困の歴史ついては有用な本だと思われるので、興味のある方は読んでみるとよい。


 貧困への対策に関する思想的な方法としては同月にでた山田鋭男『ゆたかさをどう測るか ウェルビーイングの経済学』のほうが上である。
山田のは特に小さい経済活動、一種のアナーキズム的な共生型の経済、社会的連帯経済(SSE)についての説明があり、そういった思想を述べた思想家一覧(シャルル=フーリエ、サン=シモン、ロバート・オーエンなど)が載っていて便利だし、
弱点も指摘している。またマルクスに対して望みも期待もしておらず、良い本だった。