zunda’sblog ズンダのブログ

zunda’s blog  ズンダのブログ

読書好きな弱者男性の管理人ズンダが古典、小説、批評文、経済、実用書、ガジェット、ゲームを中心に紹介するブログです。ご覧ください。Amazonのアソシエイトとして、当メディアは適格販売により収入を得ています。

LOEWEの新作 ウィリアム・ド・モーガンを軽くみてみる

 youtubeに絶賛発売中のLOEWEの新作、ウィリアム・ド・モーガンについての

動画をあげました。

 

 ここで説明している内容をブログ記事にしたのが、今回の更新です。

 

 この記事を読むと

 ☆ウィリアム・ド・モーガンについてざっくばらんにわかる

 ☆タイルについて少し分かる

 

 ↓動画はこちら

 

www.youtube.com

 

 

 ウィリアム・ド・モーガンとその父

 

 ド・モーガンについて軽く語っていきたいとおもいます。

 

 ド・モーガンという名前、皆さんはどこかできいたことがあるかもしれません。
 そう、高校数学でド・モルガンの法則というのが「集合と論理」という分野でならいましたよね。
 あれを考え出した人の息子が、このウィリアム・ド・モーガンなんです。

 

 ウィリアムは芸術に惹かれ、モリスの工房にデザインを供与、そして実験

 

 お父さんは大学の教授をしていたんですが、ウィリアムのほうは十代後半から芸術のほうに強く興味をもつようになりまして、学問よりも絵画、ステンドグラス、そして陶器やタイル作りのほうへすすんでいくことになるんですね。

 ド・モーガンは当初、タイル・デザインをモリスの工房に提供していたんです。
 それと同時に、自分でも、モリスとは異なる方法で制作したいというきもちがあって、自室に窯をつくって、いろいろ実験していたらしいんですね。

 

 ※ちなみに、ウィリアム・ド・モーガンウィリアム・モリスの名前を並べると、どっちがどっちだかわかりにくい。

 

 デザイナー アンダーソンはアーツ&クラフト運動の関係者に興味がある

 

 2017年のとき、ロエベはモリスがつくったデザインをもとに洋服やかばんをつくっていました。

 

www.pen-online.jp

 
 今回、利用されたド・モーガンはその関係者であったということです。
 モリスの工房にデザインを送り、タイル作りをしていたようです。

 もしかすると、これからもモリス関係者から想を得て、服や鞄をつくっていくのかもしれませんね。

 

 オランダのタイルがイギリスで流行し、モリスもウィリアムも興味をもつ

 

 タイルによくみられる白地に青で文様を描く表現はオランダ発祥で、イギリスで「ブルー・アンド・ホワイト」とよばれていたそうです。そのまんまなんですけど。
 白地に青の文様をもつ「染め付け」もしくはその色調をモデルにしたオランダの「デルフト」のタイルや陶器のことをしめしています。
 

 オランダのものはものすごくさっぱりしています。白の部分が面積を半分ぐらいしめているので、空白がめだちます。

 

www.antiques-iris.com


 その分、かかれた柄が簡素というか質朴な空気をたたえてますね。
 これがモリスやド・モルガンになると人によってはしつこく、うるさくかんじるかもしれません。
 
 とにかくイギリスではそれが人気があったんで、オランダの陶器やタイルを扱う代理店も多く出現して、モリスはこれらの店から素地面を購入してたんですね。

 この洋服の動植物もタイルにかかれたものでした。
 

 シャツには赤色がない理由は不明だけれども

 

 ちなみにこのシャツに関してはなぜか赤色版がありません。理由は不明なのですが、もしかすると、ロエベは「ブルーアンドホワイト」のタイルを強く意識して、青色のみをつくったのかもしれないと勝手に推測しています。
 アウターは青と赤の服があるんですけどね。この半袖シャツだけ青色のみです。
 まあ、あるいは春夏の服なので、赤色は違うとかんがえただけかもしれません。
 アンダーソンにきいてみないとわからないですね。

 

 ウィリアムは実験によって失われた製法を復活させた功績がある

 

 ウィリアムで特に有名なのがラスター彩という技法です。
 この技法で陶器に金属酸化物を塗って、窯(かま)でやくと、金属酸化物が還元し、金属皮膜となって、素地に定着します。
 それで、その皮膜が光の当たり方によって光彩を発するんですね。
 Googleでラスター彩で調べるとよくおわかりになるかとおもいます。

 

ja.wikipedia.org

 
 元々この技法はペルシャで考案されて、一三世紀のイスラム陶器やルネッサンス期のマヨリカ陶器に使用されていたんですけど、製法が途絶えていて、どう再現したらいいのかわかってなかったんですね。
 

 ウィリアムはステンド・グラス制作中に絵画に銀を混ぜることによって、玉虫色の光沢を出現させることができました。
 それで、どうにかラスター彩の製法を復活させることができないかと考えて実験したそうです。

 

 このロエベで使われている赤色のドードだとか他の鳥のデザインは、ルビーラスターという赤に金が混じって、光り輝いているものなんですが、これをド・モーガンは新たにうみだしたという点で有名だったりもします。

 

 ウィリアム・ド・モーガンの独特なデザインは戯画と関係がある

 

 タイル6インチ、8インチ、10インチ角の正方形。外装に対応できるよう耐久性もあります。
 ウィリアムの特徴としては、タイルの表面、目一杯に絵をかくんですね。
 たとえば、彼がモリスと一緒に仕事をしていた初期のデザインでは、植物文様があるんですが、それは一見するとモリスっぽいんです。
 でも、このときから、ド・モーガンの個性はすでに発揮されているといわれてます。 

 カーゾン・ローズと格子」というタイルがあります。
 これをモリスの壁紙デザイン「格子垣」と比較すると、花弁が肉厚になっていて、枝葉も観ていただけるとおわかりになるか
と。

 竹田格 「ウィリアム・ド・モーガンのタイル」

 (ここには「カーゾン・ローズと格子」はのってないのですが、ウィリアムのデザインがなんとなく感じ取れればいいかと)

https://www.biz-lixil.com/column/pic-archive/inaxreport/IR188/IR188_p50-51.pdf

 

 

 ↓モリスのはすっきりしてますよね。色合いも蔦もくどさがない。見やすい。

www.william-morris.jp


 ド・モーガンがいきていた時代というのは挿絵画家たちが自然界を戯画化してかいていた時代なんですね。
 ですから、ド・モーガンもそういった影響を受けているといわれています。 
 そういった比較の図なども、この本には載っているので、ぜひ興味のある方は本を手に取っていただければな、と。

 

 

 

 では、また。ズンダでした。

 よかったら、ブックマーク&高評価&読者登録をおねがいします。

 

 ↓この本には図が沢山のっており、ド・モーガンについて勉強なさりたい方は読んだ方がいいです。

 

ウィリアム・ ド・モーガンとヴィクトリアン・アート

ウィリアム・ ド・モーガンとヴィクトリアン・アート

 

 

 ↓ド・モーガンの作品を一挙に集めた作品集です。上で紹介した本とは異なり、写真が主になっています。

 正直、ド・モーガンは名前が売れてないので、作品をネット上でみつけるのも意外に大変だったりします。

 今回のロエベのカプセルコレクションで有名になるといいですね。

 

ウィリアム・ド・モーガン―19世紀陶器装飾の巨匠

ウィリアム・ド・モーガン―19世紀陶器装飾の巨匠