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Ghost of Tsushima(ゴーストオブツシマ)は必ず買うべき大作であるー「武士」と「冥人」の絶妙さー

皆さん、こんにちは。

ズンダです。

 

本日紹介するゲームはPS4専用ゲーム『Ghost of Tsushima』です。

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ゴーストオブツシマ タイトル画面

 ちなみに私、このゲームのメインストーリー部分のみを実況しております。

 

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【PS4】Ghost of Tsushima (ゴースト オブ ツシマ)

【PS4】Ghost of Tsushima (ゴースト オブ ツシマ)

  • 発売日: 2020/07/17
  • メディア: Video Game
 

 

 

ゴーストオブツシマの物語

蒙古襲来、文永の役が舞台

 

このゲームは鎌倉時代元寇を材にとっています。

歴史の教科書で習ったこともありますね。

 

 文永の役弘安の役、蒙古襲来、元寇などという用語を目にした覚えのある人は多いと思われます。

 

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ゲーム画面

 

 主人公は武士、名は坂井仁です。

彼は第一回目の蒙古襲来である文永の役において、対馬の武士として小茂田浜へ行き、戦いますが、蒙古の悪逆非道な戦い振りの前に敗れ去ります。

 

 歴史の授業でも習ったと思いますが、武士は相手に対して一騎打ちや名乗りを上げてから戦いを挑みます。

 ※実際にそうだったかは怪しいらしい。

 

 しかし、蒙古にはそんな作法などはなく、「てつはう」という瓦礫や鉄などを中にいれた砲弾を投げたり、金属製の弓などで、ひたすら武士や対馬の民を殲滅していました。

 

 坂井はそこで敗北するのですが、「ゆな」という賊に助けてもらい、再び対馬を救うために立ち上がります。

 

 斯くて彼は戦力を整えるために、生き残った〈弓取り石川〉や〈安達家の孀である政子〉や〈賊のゆな〉などと一緒に蒙古達と刃を交えるのです。

 

 ちなみに蒙古襲来について知りたい方は以下の本がおすすめです。

 ・カミカゼのおかげで蒙古を斥けることができたのか?

 ・元の目的はなんであったか

 などが細かく史料を基にしてかいてあり、勉強になります。

 

 

蒙古襲来と神風 - 中世の対外戦争の真実 (中公新書)
 

 

 

 このゲームの面白さ

 

 大量のイベントがありながら、ストレスを感じることがない

 

 物語の流れは王道なのですが、この作品の凄さはありとあらゆる部分が充実していることにあります。

 そして、その充実は単純に「色んな要素」があるということだけではありません。

 

 その要素の数々をプレイヤーが易々と味わうことができるから、面白いのです。

 

 

 ・ロード時間が殆ど無い。

 

 ・細かくオートセーブされるので、自分でセーブする必要性がない。

 

 ・メイン、サブストーリーを含めると100個ほどある。

 

 ・狐の祠詣で、文書集め、秘湯巡り、和歌、旗蒐集、武具集め、強化が山ほどあるが、場所がわかるようにできている。

 

 ・各所への移動は「ファストトラベル=一度いった場所へは地図の場を押すだけでいける機能」が実装されている。まだいったことのない所へいくには、既知の場へ飛んで、そこから馬を走らせていくと簡単に着く。

 

 ・主人公、仁が覚える技の数々やそれに乗じて増える戦法が多数。

 

 ・蒙古が占拠している村や野営が六〇ほどもある。

 

 ・トロフィー集めがそれほど苦労しない。無理のない範囲でプレイすれば誰でも100%までできる。

 ・あらゆる要素がある。しかし、どれも難しくはない。下手な人も十分に味わえる。

 

   

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ツシマでトロフィー100%になったときの画面

 

 纏めたように、重量感のある様々な要素に満ちあふれたゲームとなっております。

 おそらく開始後、二時間ほどで「このゲームが7000千円程度なのは安すぎないか?」と感じるほどです。

 

 とにかく一つのイベントを終えると、すぐに別のイベントが地図上に解放されていきます。

 これが「ボコボコボコ」という音と共に地図上に「?」記号が連鎖的に広がり、まだ見ぬ舞台に期待が膨らむよう作られています。

 

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ツシマ 地図

 

 

 アクション要素の醍醐味ー神社巡りーが好き ※動画付き

 

 そして各イベントも10分~20分ほどあればクリアできるようになっています。

 要するに複雑ではないし、面倒なところがないのです。

 

 特に面白かったのが神社巡りです。

 

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お社を見下ろす仁

 

 参拝すると主人公を強くしてくれる護符が手に入ります。

 が、蒙古によってお社に辿り着くための橋が焼き払われており、主人公はTBSの「サスケ」でみられるような、信じられない動きをしながら山登りをしていきます。

 

 まさに命がけですが、御利益のために危険な山道を登るのも昔からあったことを思えば、ある意味、このゲームでの参拝はそれを表しているといえるのかもしれません。

 

 ちなみに、お社を詣でる仁、を撮ってみましたので、どうぞご覧になってください。

 

www.youtube.com

 

 

 

 どのイベントも面白く、深く、そして悲しい

 

 RPGでありがちなお使い的なイベントも殆どありません。

 

 

 プレイヤーが頭を抱えたり、つまらない用事に時間を取られるということもありません。

 

 かといって、そこで語られる物語ー本ゲームではサブイベントは「浮世草」と名付けられていますーは薄っぺらくない。

 

 有名な短編小説輯を読んでいる気分になります。

 

 オチは悲劇的なものが多いのですが、当時のツシマの凄惨な状況が伝わってきます。

 

 我々は教科書で蒙古襲来について習っても、「当時の島民達がどれだけ恐ろしかったか」は想像しがたいのではないでしょうか。

 

 

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仁は民を救うために蒙古と戦う

 

 ですが、このゲームをやっていると、外国が侵略した際の恐怖がありのまま伝わってきます。

 

 民は平気で殺されますし、平気で奴隷にされてしまいます。

 

 百姓や商人ですからね。武器なぞもってはいないし、戦った経験もないわけですから、如何ともしようがありません。

 

 歩いていると、死体だらけです。

 

 主人公は、

 常に武士として蒙古や賊と戦い、民に関わる問題を解決していく。

 

 そして彼を通して、島民達とふれあうことで、プレイヤーは元によって侵攻されることの恐ろしさを体感できるようになっています。

 

 数々のイベントは私たちに外敵から攻められることの恐怖を教えてくれることでしょう。

 このゲームをすることによって日本史の教科書にかいてある歴史的事象について想像力が膨らむことは間違いありません。

 

 

 ↓日本の奈良平安、鎌倉辺りまでの戦争について扱った本です。日本だと近代史、特に日露戦争やシナ事変や太平洋戦争あるいは大東亜戦争などばかりが八月になると盛んに話題に上りますが、もっと昔の戦いについても知るべきだと思います。

 ゴーストオブツシマのように、この辺りの戦いをとりあげた作品がもっと増えればよいとおもっております。

 

 

 

 

古代史講義【戦乱篇】 (ちくま新書)

古代史講義【戦乱篇】 (ちくま新書)

  • 発売日: 2019/03/06
  • メディア: 新書
 

 

 

 メインストーリーは「武士の誉れ」と「冥人の恥」が肝

 先述したように主人公は武士です。

 主人公、仁の父親は子供時代に目の前で賊によって殺され、彼は叔父である志村にひきとられ、養育されます。

 

 叔父は武士として「誉れ」を第一に考えるべきだと仁に教えてきました。

 

 しかし、蒙古によって大勢の武士は討ち死にしてしまいます。

 

 生き残った仁は一人で戦況を覆すために「誉れ」を捨てます。

 

 彼は「冥人」(=忍者のように暗具を使い、敵を殺すことだけに専心した戦いをする人のこと)にうまれかわるのです

 

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敵の背後をとり、息を潜めて暗殺を窺う仁

 

 「ゆな」の弟である「たか」からは、蒙古を倒す修羅の如き態度から

 

 「お侍様の戦い方じゃない」

 

 といわれる始末。

 

 武士である自分と民を救うため冥人にならざるを得なかった自分との間で彼は悩みます。

 しかし、後半になるにつれて、冥人として生きることを決意していきます。

 

 後に、仁は志村に対して次のようにいいます。

 

 

誉れは浜で死にました

 

 また、こういった「誉れ」と「冥人」との対比が物語の終わりに於いても重大な役割を果たします。

 ※ネタバレになるので本記事の一番下に結末について記す。

 

 PS4を持っている人は、このゲームを買うしかない

 FF7リメイクに匹敵する魅力

 

 と、ここまで見てきたように『Ghost of Tsushima』は近年比類無き大作といえるようなゲームです。

 

 私ズンダがこんなに填まり込んでしまったのは『FF7 REMAKE』以来のことです。

 

 

ファイナルファンタジーVII リメイク - PS4

ファイナルファンタジーVII リメイク - PS4

  • 発売日: 2020/04/10
  • メディア: Video Game
 

 

 というと、かなり最近のことになっていて、自分で書いていて笑ってしまうのですが、そのぐらい今年のPS4は優れたゲームに恵まれていたということです。

 

 とにかく、この二週間あまり『ゴーストオブツシマ』には楽しませて貰いました。

 また、こういったゲームが発売しましたら、購入したいと思いましたね。

 

 

 

・何か面白いゲームがやりたい!

・コロナ禍で家のなかで過ごす時間が多くなったので暇つぶしに何かしたい!

PS4でヤルゲームがないから、何かほしい! 

・歴史物が苦手だったけれども、ちょっとやってみたい!

FF7リメイク並のものを求めている!

 

 

 そんな人はゴーストオブツシマがお勧めです。

 このゲーム、間違いなく、「買い」です!

 

 

【PS4】Ghost of Tsushima (ゴースト オブ ツシマ)

【PS4】Ghost of Tsushima (ゴースト オブ ツシマ)

  • 発売日: 2020/07/17
  • メディア: Video Game
 

 

 

 では、またお会いしましょう。

 ズンダでした。

 

 

 結末のネタバレとEDの考察

  仁は対馬を救ったが〇〇になってしまう

 

 クリアしていない人は読まないでください。

 

 

 さて、最後に志村は仁と戦うことになります。

 理由としては、仁が蒙古と変わらぬ残虐極まりない方法で戦果をあげてしまったことで、鎌倉幕府から目をつけられてしまったからです。

 

 なんと仁は謀反人扱いを受けるようになりました。

 

 仁は蒙古の武将コトゥーン・ハンを倒した人物として民から「冥人」としてあがめ奉られるようになります。

 

 ここで問題なのは「武士」としてではない、ということです。

 

 これは幕府に於いて、武士による支配秩序が「冥人」に敗北したことを意味しており、権威性に罅をもたらしかねない事態にまで発展する可能性がある。

 

 実際、ゲームでも、民は「冥人様!冥人様!」と武士ではなく「冥人」に対して希望を見いだすようになっていきます。

 

 こうなると、「武士の価値とは?」となるのも必定ですね。

 

 蒙古が対馬へやってきても、彼らは完膚なきまでに敗れ去ってしまった。

 

 民からすれば、自分たちを守れなかった「武士」よりも「冥人」を上位におくのは当然なわけです。

 

 鎌倉幕府からしてみると、対馬を守った仁は蒙古と同じ、脅威の対象となってしまったのですね。

 

 武士としての誉れを捨てた価値とは何なのか?人殺しの冥人が、人を生かすへ

 

 そんなわけで、叔父である志村は自分の手で仁を葬り去ることを決意します。

 

 一対一での死闘が繰り広げられた後、勝利した仁は「志村を生かすか、殺すか」を選ぶはめになります。

 

 志村は「誉れ」ある死に方をしたいと言い、自分を殺してくれと頼みます。

 

 プレイヤー自身が選ばなければなりません。

 

 個人の好き嫌いで選んで良い選択肢です。

 

 しかし、物語の整合性を考えると、どちらが正解なのかを考えてみてもいいのではないでしょうか。

 

 私ズンダは「生かす」を選びました。

 

 というのも仁自体がすでに「武士」ではなく「冥人」だからです。

 

 このゲームは「武士」か「冥人」かで板挟みになってしまった仁が主役のゲームです。

 

 仁は「冥人」として生きることを選ばざるを得なくなった以上、叔父を「誉れ」で救う必要は何処にもありません。

 

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志村の叔父と

 

 私はこの場面は本当に名場面だと思いました。

 

 この物語は「武士」か「冥人」かを常に問い続けながらも、蒙古を殺すために「冥人」にならざるを得なかった坂井仁のお話なのです。

 

 彼は対馬の民を最終的には救いました。

 

 しかし、それまでに多くのものを失っています。

 

 多くの民や仲間の武士、ゆなの弟「たか」や旅を共にする愛馬、そして、志村の叔父の信頼や武士としての「誉れ」です。

 

 完全に人殺しとなってしまった坂井仁

 

 その坂井が「冥人」だからこそ、最後の場面に於いて、叔父の志村を殺さないという選択肢がでてくるわけです。

 

 もし彼が「武士」のままだったら、叔父を殺すという選択肢以外はでてこないのです。

 

  ここでもし、「殺す」を選んでしまえば、「冥人」としての価値を失います。

 

 「冥人」には「誉れ」など関係がないからです。

 

 そして、関係がないからこそ「叔父を生かすことができる」というこの結論こそが、『Ghost of Tsushima』において、仁が「冥人」として生きた証であり、彼にとって最大の勲なのです。

 

 「冥人」は単なる人殺しではない。民も、そして叔父も生かすせる存在である。

 それがゴーストオブツシマの結論です。

 

 以上、ゴーストオブツシマの紹介でした。

 

 ありとあらゆる点で名作だと思われます。

 

 またお会いしましょう。

 ズンダでした。