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2021年1月3日地上派初放送 新海誠 小説版『天気の子』(角川文庫)【物語のあらすじ 結末 何を伝えたかったか編】

zunnda.hatenablog.com

 ↑考察編があがりました。

【ネタバレ有り】2019年7月19日公開の映画 新海誠 小説版『天気の子』【感想】

 

 さて、新海誠監督による最新作、『天気の子』がついに七月一九日より公開されます。

 本日、私ズンダが紹介しますのはこの映画の小説版です。

 

 後書きの新海氏曰く、映画はキャラクターの動作や顔つきなどで表現するため言葉数が少ない方がいいと考えていると言っておられます。

 小説を読んでみると、新海氏が描く風景はまるで映画のように美麗で、どんなふうに世界が表現されているのか手に取るようにわかる明確な描写です。

 

 「僕と彼女だけが知っている、世界の秘密」とは何なのでしょう。

 

 では本作はどんな物語なのかみていきましょう。

 

 

 

 物語の主人公とヒロイン

 

 主人公の素性

 

 主人公の森嶋帆高は全校生徒が三十人ほどしかいない一六歳の高校生です。

 彼は日常の平凡さに飽き飽きしてしまいます。

 そのなんともいえない日々からの脱出を図りたいがために家出をし、島からでていってしまいます。

 

 ヒロインの素性

 

 ヒロインは天野陽菜です。歳は18歳。帆高よりも二歳上です。年上のヒロインです。彼女は弟の天野凪と二人暮らし。

 

 家庭を支えるためにマクドナルド店員として日々バイトに明け暮れていました。

 

 二人の出会い

 

 島からでた帆高はお金もなく、働く当てもなかったので、飢え死にしそうになっていました。

しかし、陽菜が彼にバイト先のハンバーガーを与えます。

 

 ここで二人は始めて会話をします。

 

 序盤から終盤までの内容(ネタバレ有り)

  異常気象な日本

 

 この年の日本は異常気象になっていました。夏だというのに気温はあがらず、いつまでも雨が降り続けるという気候です。

 

 帆高は須賀という人物の会社で働くことになります。

 住み込み、飯付きでした。

 女優・本田翼が演じる夏美とも出会います。

 彼女は就活をしていない大学四年生の女性です。

 就活していない理由は、自分の人生が「社会人」という段階に入ってしまうことを忌避していたからです。

 そんな彼女は須賀の会社で適当に働いていました。

 

 そこでいろんな人物にインタビューをし、記事を書きまくり、雑誌に送るという仕事でした。

 

 「ネットで噂の『100%の晴れおんな』」ということについて書くことになります。

 そうこうしているうちに陽菜とまた会います。

 雨がふっていましたが、陽菜が「晴れるよ」というと本当に晴れます。

 陽菜こそ晴れ女だということになります。

 陽菜はその後、帆高と一緒に、雨ばかりが降り、七月だというのに低気温の状態になっている日本に「晴れの日」をもたらすための仕事をしはじめます。

 

 一緒にいたときに帆高は、夏美と比べると陽菜の体は薄っぺらく、女の体としては魅力がないと感じ、「水商売は無理そうだね」といいます。

 ちょっとセクハラと批判されそうな台詞ですね。

 

 しかし、これは伏線でした。

 というのも陽菜は実は18歳ではなく、15歳の中学生でした。15歳ゆえに体ができあがっていないということを示唆する台詞だったのです。

 彼女は生活費を稼ぐためにアルバイトをしなければならなかったので、年齢を偽る必要があったのです。

 

 さて、陽菜にはなぜか、一時的に雨雲を吹き飛ばし、天気をよくする力が備わっていました。

 理由:母親を亡くした際に、ビルの屋上の鳥居に行き、「お母さんが目を覚ましますように」と手を合わせながら鳥居を潜ったからと説明されています。

 おそらく龍神に目をつけられたのでしょう。

 

 当初、帆高は彼女を晴れ女としてみていたのですが、徐々に、彼女には特殊な能力があることに気がつき始めます。

 

 物語が中盤から終盤へ動くタイミング

 

 きっかけは、帆高の両親が行方不明者として帆高を探すよう警察に届けたことからはじまります。

 帆高を探しに来た警察が、帆高も仕事でいた陽菜の家にやってきます。

 陽菜は帆高を知らないと嘘をつきますが、陽菜も弟と二人暮らしであるために児童相談所に預ける必要があるという話をされます。

 

 二人と弟の凪は警察の手から逃れるために部屋から飛び出し、夜の町を出歩き、ラブホテルに泊まることにします。

 お風呂に入り終わった後、帆高の前でとつぜん、陽菜がバスローブを脱ぎ始めます。

 急に脱ぎ始めてどうしたんだ、とおもいきや、陽菜の左半身は透けて見えなくなっていたのです。

 陽菜がいうには、晴れをつくるたびに自分の体は徐々に透けていき、なくなっていったということ。

 龍神様の人柱になることで、巫女は晴れの日をつくることができる、という夏美からきいた陽菜は伝承を語ります。

 帆高は陽菜を抱きしめて、「俺が一生懸命、お前を守る」といいます。

 しかし、次の日の朝、ベッドで寝ていた陽菜は消えてしまったのでした。

 陽菜は人柱として龍神に食べられてしまったのです。

 

 このあと、帆高は警察に一時的に捕まりますが、なんとか脱出します。

 そして、夏美や須賀や凪の助けを得て、陽菜と最初に出会ったビルの屋上へ行き、彼女のもとへ飛び、龍神から彼女を救い出します。

 

 このあたりの今まで出てきた登場人物が主人公を助けて、ヒロインのもとへと届ける展開は、映画ではありきたりのもので、陳腐な感じがしていました。

 

 これでヒロインを助けて、ああ、終わりか、と思っていたのですが……。物語は驚きの結末を迎えます。

 

 結末 エンディング 世界を変えてしまった二人

 

 さて、陽菜のおかげで日本の雨は止んでいました。

 しかし帆高が陽菜を助けたために雨は再び降り始めます。

 

 そして

 

 

雨はそれから三年間止むことなく、今も降り続けている。

 

 

 この部分を読んだとき、正直、びっくりしました。

 

 要するに陽菜を助けて、奇跡が起こり、雨は止むのかと思っていたら、「そんな安易な奇跡など起こらないぞ」とばかりに雨が降り続けるという結末なのです。

 

 この三年の間、雨が降り続けたために、レインボーブリッジは水に沈み、東京都の面積の三分の一が水の下になってしまいます。

 

 しかも、一向に雨は止まないまま物語の幕は閉じます。

 

 グッドエンドなのかバッドエンドなのか

 

 さて、物語は以上です。

 陽菜を取り戻すことができた帆高でしたが、その代わりに東京は滅茶苦茶な状態になってしまいます。

 彼女を得た代償に。

 どうもハッピーエンドともいえないし、バッドエンドともいえない。

 しかし、日本全体のことを考えると、凄まじい状態ですよね。

 

 東京がこんなことになっちゃったら、住んでいる人々や日本経済ぐちゃぐちゃです。

 

 いったいこの話は何なんだろうとおもいました。

 

 もちろん、新海監督の『君が名は。』は彼にしてはグッドエンディングだったといわれています。

 もともと、寂し気な終わり方をさせる監督なのです。

 

 普通に考えるとこの物語で伝わることは次のようなものでしょう。

 

 

・「雨だらけの東京=世界」を救うことよりも一人の女性を選んだ物語

 ・大人になること=「陽菜を救わないで、雨を晴らすことを望む世界」よりも、子供の純粋な気持ちを貫かせた物語

 

 

 二番目について書きます。

 

 最後のほうで、富美さんが

「東京のあの辺はさ、もともと海だったんだよ。ほんの少し前―江戸時代くらいまではね」

「江戸そのものがさ、海の入り江だったんだよ。」

「だからさ―結局元に戻っただけだわ、なんて思ったりもするね」

 

 

 という人間のやることなんていつの時代も変わらない。元に戻っただけだ、という話をします。

 

 そのあと、主人公は須賀と会います。

 

 自分と陽菜が世界を変えてしまった、と須賀に述べますが、須賀はあっさりとその考え方を否定します。

 

「お前たちが原因でこうなった?自分たちが世界のかたちを変えちまったぁ?」

「んなわけねえだろ、バーカ。自惚れるのも大概にしろよ」

「妄想なんかしてねえで、現実をみろよ現実を。いいか、若い奴は感が違いしてるけど、自分の内側なんかだらだら眺めててもそこにはなんにもねえの。大事なことはぜんぶ外側にあるの。自分を見ねえで人をみろよ。どんだけ自分が特別だと思ってんだよ」

 

 といい、大人たちは「何も変わっていない。世界はこんなもんなんだ。狂ってるもんなんだ。」というわけです。

 

 しかし帆高は、その考えは違う、という結論に達します。

 

 

世界は最初から狂っていたわけじゃない。僕たちが変えたんだ。あの夏、あの空の上で、僕は選んだんだ。青空よりも陽菜さんを。大勢のしあわせよりも陽菜さんの命を。そして僕たちは願ったんだ。世界がどんなかたちだろうとそんなことは関係なく、ただ、ともに生きていくことを

 

 帆高にとって、世界は選択したものでした。

 彼は世界の平穏無事よりも自分と陽菜との関係を選んだ。

 エゴイストといわれるかもしれませんが、彼にとってはそれが最善

 だったのです。

 

 

 さて、粗筋はこんな感じです。

 事実誤認もあるはずなので、あとで修正すると思いますが、ご容赦ください。

 

 このあと、独断と偏見による「『天気の子』感想編」をあげます。

 この「感想編」は新海氏の「あとがき」にかなり引っ張られたものとなっています。

  ↓考察、あがりました!

 

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小説 天気の子 (角川文庫)

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小説 君の名は。 (新海誠ライブラリー)

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 キャスト

森嶋帆高 醍醐虎汰朗

天野陽菜 森七菜

須賀圭介 小栗旬

夏美 本田翼

冨美 倍賞千恵子