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【読書感想】応用性のある哲学 『信頼と裏切りの哲学』を紹介する!!

 

 

どんな内容の本か?

 

紹介するといっていますが、議論の中身を仔細に伝えることはまずできない本です。

この本の結論だけをいってしまうと実は非常に穏当なものでしかありません。

 

哲学者達の議論が諸々参考にされながら、その説を剔抉し反論や異論を加えつつ、著者がまとめた信頼の要素「認知的・感情的・制度的」が多層的に重なりあい、不信や裏切りなどがどのように誕生するかを検討していくといったものです。

 

そのため大事なことは「認知的とはなにか?」「感情的とはなにか?」「制度的とはなにか?」を確認しながら読むことです。

 

これらを確認した後に不信、裏切りの項について思索が展開されますが、

それは至って当然の結論に至ります。

 

本書を読み終えたとき、私ズンダは「あれ、これでおわりか」とおもってしまいました。

一方で、読書中、この考えは「使える」とも思いました。

 

当然、信頼や裏切りというのは我々の日常において頻繁に繰り返されていることです。

誰かに対しての信頼なくして恋愛も家庭生活も学校も会社も成り立つことはありません。

 

人と付き合わないで生きていく人は極一部でしょう。

 

こうして私がブログをかいたりXをしていたりしても、常に誰かはみています。

私も誰かが自分の書き込みをみているかもしれない可能性をもちながら、ブログ、X、NOTEに文字を連ねているわけです。

 

ですから、この本の内容は実に哲学的考察でありながらも実践的です。

 

それゆえ「当たり前」に感じられてしまい物足りなさを覚えてしまうという欠点があります。

 

ただ私個人のここ一、二年の興味に本書を照らし合わせてみると、時宜にあった拡張ができることに気づきます。

 

私ズンダはどのようにこの本を受け止めたか―スプラトゥーンというゲームー

 

私ズンダにとっての関心事は

 

「テレビゲームにおけるオンライン上の信頼はいかにして成り立つのか?」

 

ということでした。

 

私ズンダは「スプラトゥーン」というゲームをずっとやっていますが、

このゲームは四人チームで相手四人と戦います。

 

オンライン上の知らない三人が味方にきて、私と一緒に相手チームと戦います。

その結果、勝ったり負けたりするわけですが、

「どうして味方はあのときにこんな行動をとったのだろう?」と思うことが多い。

 

ここには味方への「信頼」があり「期待」があると考えられます。

お店へいって商品を店員さんにわたし、お金をあげることで商品がこちらのものになる。

 

これは客と店員との信頼によるものです。

 

この信頼は万引きすれば一瞬で崩れ、「裏切り」になります。

 

それと同じで「スプラトゥーン」というゲームにも「信頼」と「裏切り」が不即不離で存在しているのです。

 

この辺りを考察するときに『信頼と裏切りの哲学』は非常に役立ちそうだなと思っています。

 

読んでいてグァラ『制度論』とヒースの『ルールに従う』を思い出したのでこちらもおすすめです。

 

特にヒースの1~3章の道具的合理性などは近いが、『信頼と裏切りの哲学』はそのなかでも焦点をかなり絞っている本であり、ヒースのは頁数も分量もでてくる思想家や実験の紹介ふくめて射程が長い。

 

 

 

他メディアで書いた感想文

 

以下はXや読書メーターにかいた感想です。

 

 

 

・認知的信頼

・感情的信頼

・制度的信頼

 

 

これらが多層的に関わり合うと考える。
 どの信頼にも一概には言い切れない部分があり、
それを他の部分で補う。この三点を引き継いで、不信、裏切りなどがどうして起こるかを語る。 
読むべき部分を指摘できない本だった。


 オンラインゲームではなぜお互いが協力しあうのか?
ということを考えるときに本書を利用してみると
自分には有益な書物なのではないかとおもえた。 
それが理由で手に取ったわけだしなあ。
あくまでも内的コミットメントに拘ってる感じがあったけど。もう一回よんでみるか・・・


難解ではなくしっかり説明された本なので読むこと自体は苦ではない。
問題はこれを読んでいる自分がここから何を引き出せるか、
何を思えるかということである。その論理の積み重ねも結論も分かる。
というか、当たり前ではないかこれは?といった内容のあまり、
読後感がない。読む前と読んだ後での自分の変化を感じない。
本によって思想が極度に変わるなどということは
青年期でもないかぎりは滅多にないことであるが、


この本はホッブズ、ヒューム、カントを軸にしながら
信頼について書いていくために思想家の紹介のようになっているきらいがある。


そして、ここで挙げられている彼らの思想も、
哲学系の本を読んでいる人間であれば知っていて当然のものである。
それらから信頼を考えることはいいが、
こういう思想家の説を追っていくことで分かることに感興を覚えることが
私にはできなかった。


ただし、不佞にとって益があると思ったのは
ビデオゲームにおけるオンライン上の味方に対して私たちは何を求め、
期待し、信頼し、そして不信や裏切りを抱くのかということをよく考えていたからである。 
その観点からすれば、本書はそれに十分に応えてくれたと思える。使える本になる。