※追記
著者の朱氏に反応していただいた。
二月刊行予定の
『人類の会話のための哲学: ローティと21世紀のプラグマティズム』で行っているらしい。
実に楽しみである。
ローティについての入門書である。
《西洋哲学に一貫してみられる「真理」の探求への批判》
《終極の語彙》
《リベラル・アイロニスト》
《再記述》
《言葉による非‐人間化》
などが扱われている。
ローティを利用して何かを述べたい人にとっては良い纏めになっている。
たとえば人と喧嘩になったり論争になったりしたときに
「それは君の《終極の語彙》でしかないよね」
といえば
相手のことを論破した気になれるだろうし、
「《言葉は人を非‐人間化》するのでエビデンスはいらない」
などといった使い方もできるだろう。
個人的にこういう哲学の使い方はどうかとおもうが、
しかし、哲学を現代的に利用するとなれば論法の一つとして
各哲学者の思想を集めて、自分の手駒として使うのも一つの摂取の仕方ではある。
権威主義的にはなるが、
一般層が時代に名を残した人の知恵として現代に活かすやり方としては
いいかもしれない。
ただ、この本には言語哲学や相対主義の話がのってないので、
読んだ人はローティを「相対主義者」とおもってしまうのではないか。
もちろんそういう見方されているし、ありだとはおもうが、
ローティへの批判も書いてあった方がよかった。
「公共的な社会正義と私的な利害関心」では
ハンナ・アーレント『人間の条件』を思い出した。
ローティが他の思想家などの影響をどのぐらい受けていたのかも
知りたいところではあるが、入門書である以上、
これは仕方がない。ないものねだりである。
東浩紀『訂正する力』もどうぞ。
本書は一時間もあれは読過できるのでおすすめである。
値段も600円ぐらいで買える。
以下に並べたのはローティ自身の本とローティについての研究書、またアーレントの「公私」がわかる『人間の条件』である。
またローティを読むに辺り必要な哲学の歴史をまとめた本を紹介している。
どれも読みやすくわかりやすいので、この100分de名著を読んだ後は
ぜひ読んで欲しい。