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ヤンキー君とメガネちゃん メガネちゃんのキャラクターとしての役割

漫画版『ヤンキー君とメガネちゃん』読了しました。

2010年の四月から六月まで成宮寛貴初主役連続ドラマだった作品です。ヒロインは今をときめく仲里衣紗。

 

 

漫画を読み始めたのはつい一週間程前です。

途中まではドラマ化されていたのでコミックスの十四巻から読み始めました。

 

 

読んで思ったのは女性作者だけあって、キャラクターがかわいらしく書かれていること。線は少なめですが、かわいい特徴だけを捉えてサッと描いた絵です。

絵柄は真島ヒロにそっくりですが、もしかするとお弟子さんかなんかだったのかもしれません。

 

 

さて、ドラマと原作とはいくらか違うところはあるのですが、そこは置いておいて、最終話について。

 

 

最終話はなかなか納得がいかない人が多かったと思われます。

なんといっても、この作品、後半に入ると生徒会の皆で偏差値八十以上もある「殿様大学」略して「殿大」へ行くために受験漫画になるのですが、肝心のヒロインである足立花が推薦で先に合格を決めていたにもかかわらず大学へ入らないのです。その上、高校卒業もしなかったことが大学卒業後に判明します。さらに言うと二十一巻から最終話に至るまで足立花は殆ど出番はないという有様。

彼女はヒロインの座を擲って、作品世界から全くいなくなってしまうのです。

 

 

品川は足立花を好きであったために同じ大学へ入学しようと必死になって勉強します。けれども、足立花はそれには応えませんでした。五年目、大学を卒業した品川が、高校教師となり、卒業した紋白高校へ数学教師として赴任した際に彼の目の前に新入生という設定で現れるのです。

 

 

この最終話を普通の人はどうみるのでしょうか。

とても納得のできるおわり方ではありません。

最終話には二人の仲は進展し、恋愛関係が始まるとだれしもが思っていたはずです。

ところが、二人の仲は高校時代で止まったままです。

まるで同じ話を再現するかのように二人の関係性は同級生から高校教師と生徒という変化を経ながらも輪の中でぐるりと一回転しただけであり、その軌跡が確かに跡を残しながらも、虚しい一時でしかなかった三年間の高校時代を思わせます。

 

 

足立花とはなんであったのか。その答を作者は語りません。

勿論、こちらもそれがなんなのかは知りませんが、もともとこの作品の主役が品川大地一人であり、彼の高校生活を満足たりえる充実したものとして書きたかった作者の決意は最終巻のあとがきで語られているとおりです。

 

 

だとすれば、足立はストーリーにおける謂わばトリックスターであり、もともと「高校生活時に現れる限定キャラ」だったのでしょう。

だから、彼女は高校の卒業式にもあらわれなかった。

彼女の役目は品川大地の「高校生活」を楽しく過ごさせることだからです。

その他の場面において、彼女はその要求を満たす役割を与えられてはいません。

故に、大学時代も消えたまま。高校に帰って来たとき、はじめて足立花は再び品川と相まみえます。それが彼女が作者に与えられた唯一の役割だった。高校にいる品川大地との関係でしか生きさせてもらえない。キャラクターの限界を超えさせてもらえなかったわけです。

 

 

品川が足立への恋慕を成就するには教師になった今しかありえません。彼女は高校限定のキャラクターなのであり、品川の父親がいったように「いつのまにかいなくなる人」なのですから。

と、こう解釈することで私自身の最終話の不満は解決しています。

 

 

ところで、足立花は誰しもが一時は友達として付き合っていたことのある人なのではないかとも思うのです。

いませんでしたか、在学中のみ仲が良かった友人。

卒業してからは一切会うこともなく、果てがどうなったか知れぬ人。

 

 

そんな生徒時代の虚ろな存在でもあったのかとも思えますね。

 

 

 

 

 

次は何の漫画を読むべきか、模索中です。