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【感想】障害ある人間はいきづらい、宇佐見りん『推し燃ゆ』(河出文庫)

 

 皆さん、こんにちは。ズンダです。

 今回は久々に小説を読んだのでその読書感想文です。

 

 宇佐見りん氏の『推し、燃ゆ』(河出文庫)です。

 私ズンダ、大学をでて以降は小説をあまりよまなくなっていたのですが、近頃、ちょっとだけ文学熱が上がっており、楽しんでおります。

 

 

 

 

 

 

 

宇佐見りん『推し燃ゆ』(河出文庫)を読了。

 

宇佐見りんの芥川賞受賞作。以前からその独特な文体に惹かれ、読みたいと思っていたが、今回、文庫化されたので一気に読んだ。発達障害と思われる主人公が親、学校、バイト先での生きづらさに困惑しながら衝突を繰り返すといった話。

 

主人公を支えるのは推し活である。

 

その推しが引退することになり、自分自身を支えるものは最終的に《自分》しかないという決然たる意志をもってこの物語は終わる。

 

先に紹介した朝井リョウの作品とやや主題が似ている。障害児という点を除けば平凡だが、

純文学の特徴は推し活にはまった思春期の障害児を如何に非凡な文体で描くかというところにある。宇佐見の文体は佶屈聱牙なものではないが、ところどころに作家としての冴えた筆致があり、一考すると凡夫でも書けそうな心理や身体部位について未曾有かつ淋漓な描写をしている。

 

それが障害があるゆえに世間的には
《デキがわるい》といわれるであろう女主人公の不憫でありながらも、やはり不気味に感じてしまう気持ち悪さのようなものを伝えており、推しへの異常な情熱も相まって怪奇小説を読んでいるような気持ちにさせる。狂癡と読んで差し支えない状態を一人の女の子に焦点させ、文学にした傑作である。