討論会 全体を通して
出席者とその思想
討論会に出ていたのは
安藤裕(内閣府大臣政務官兼復興大臣政務官・衆議院議員)
佐々木類(産経新聞論説副委員長)
石平(評論家)
長尾たかし(内閣府大臣政務官・衆議院議員)
西岡力(「救う会」全国協議会会長・モラロジー研究所歴史研究室室長)
の七名です
まず、視聴する上で彼らの立場を軽く纏めてみます。
要素についてはそれぞれ異なります。
というのも経済の話だけする人もいれば、国際問題についてのみ話すだけの人もいるからで、要素毎に分けられるだけの情報量も必要もありません。
ざっくばらんな立場だけ分かれば視聴は十分です。
安藤裕 衆議院議員。MMT支持。政治観も保守。「日本の未来を考える会」の座長。
佐々木類 産経新聞だけあって安倍批判はしない。経済の話もしない。国際問題だけが問題だと思っている節あり。
石平 中国共産党批判が主。経済については語らない。安倍政権の中国に対する態度にのみ疑問符をなげつける。
長尾たかし 自民党だが自分の党を情けないというスタイル。が、何かしらかの行動はしているのか?いまいち何をしているのかわからない人、という印象。
西岡力 朝鮮韓国の問題に詳しい。親安倍で絶対に安倍批判はしない。経済についても話さない。所謂、朝鮮、韓国、左翼批判だけする。
浜崎洋介 西部塾に通ってた人。保守。文芸評論家。問題を根底から掘り返して語る誠実な人。「安倍晋三器論」を唱えて、ややTwitterで話題になった。
宮崎正弘 中国崩壊論の人。が、いつまでも中国は崩壊しない。MMT議論が盛んになっても中国崩壊論を説く。その前に日本が崩壊するんじゃないか?西尾幹二と昔からチャンネル桜にでていた。
「れいわ新撰組」をどうみるのか。経済論はチャンネル桜と同じ
水島社長もyoutubeのコメントでだいぶ批判されたせいなのか、前回の放送と違って山本太郎のれいわ新撰組がどうして伸張したのかを冷静に分析しておられます。
45:40ほどからですが、「本質的には今、経済論ですよ。一番正しいというか本質的なことをいったのは彼ら(れいわ新撰組)しかいない」と述べておられます。
実際、私が思うにはチャンネル桜の経済討論を何度もみていた人の中には右よりだったとしても「れいわ新撰組」に入れた人は多いと思っています。
というのもまさに「れいわ新撰組」の経済政策はチャンネル桜の出演者である三橋貴明や藤井聡がいっていたことと同じだからです。
山本太郎の遊説に使われていたデータのなかには三橋や藤井の著作で見たことがあるものも利用されていることから、彼らが山本太郎に提供していたことは間違いないでしょう。
そうだとすると、チャンネル桜をみていた人たちが「れいわ新撰組」に票をいれていたとしても何もおかしいことではありません。
ここが痛し痒しなところでしょう。
というのも、悲しいことに、チャンネル桜の主義主張を政治家が実践しようとしたことはありませんでした。
今までみてきた視聴者の中には、チャンネル桜はいいことをいっている。でも、それを実行してくれる政党はいないことに、悲しさやむなしさを覚えていた人たちは多かったはずです。
しかし、今回、四象限マトリクスで見ると左下(反緊縮反グローバリズム左翼)に位置する山本がチャンネル桜の討論会で幾度となく述べられてきたことを演説の中でひたすらいっておられたわけです
そして、テレビ朝日のモーニングバード内「もしもし総見」でも同じようなことを発言していました。
となると、チャンネル桜の経済政策についての考えを山本太郎が背負って、戦ってくれているといえるわけです。
実際、山本は中野剛志『奇跡の経済教室』を読んでいることがわかっています。
これは実に皮肉なことです。
本来は右下(反緊縮反グローバリズム右翼)が唱えるべきことの一部を山本氏が述べてしまった。
日本には右下を訴える政党は今のところ、存在しないわけですから、反グローバリズム反緊縮に属する人たちは山本氏のほうに流れてしまうわけです。
つまり、軸でいうところの下側にいる人たちの一部を山本氏が掬い上げてしまったのです。
安藤もいっておられたように「チャンネル桜の努力が山本氏にとられてしまった」ということですね。
それゆえ、youtubeのコメント欄でも水島社長にたいしての批判が多かったのだと思われます。
国民は貧困化して苦しんでいるという現実と安全保障
視聴者や日本国民の気持ちをうまく代弁できたのは、今回の討論会でいうと、安藤裕氏と浜崎洋介氏の二人だけなのです。
安藤は政治家として「れいわ新撰組」の価値について、「日本国民に正しい経済の見方を広めたうえに、国民のなかに消費税反対や、財政出動に理解を示す人々がいることを証明した」というようなことをいっておられます。
浜崎も同様に「れいわ新撰組がどうして擡頭できたのかを冷静に分析する必要がある」といっておられます。
しかし、そのあと第二部から流れが変わります。この二人以外が喋り始めてからです。
どうやら日本の親米保守系の人々(日本の保守は九割が親米保守)は「経済より安全保障のほうが大事なのである」と主張したがるのです。
日本の保守には二種類あることを知ってますか?
その前に、日本の保守についてこれもまたざっくばらんに紹介します。
大体日本の保守は「親米保守」と「反米保守」とに二分されます。
親米保守の特徴は次の通りです。
憲法改正支持。アメリカの批判は絶対にしない。新自由主義者だが、そもそも経済について語る人間が殆どいない。歴史のみ語る。反中反韓。
反米保守
憲法改正支持。国家は自立していなければならないのでアメリカと対等につきあうべし。反グローバリズム。経済を語れる。反中反韓でもなく親中親韓でもない。是々非々。
国内経済よりも安全保障のほうが大事といえるか
さて、「経済より安全保障のほうが大事なのである」という論法は3つの意味で保守の凋落につながるのでやめるべきです。
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安倍政権の経済政策が失敗したことから目をそらしたい。安倍政権は少なくとも経済においてはうまくやったと思い込みたい保守系がいる。
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そもそもGDPが成長していないということは軍事に使える予算は一%程度と決まっているので、経済をないがしろにすることは安全保障問題につながる。
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国内経済が悪いことは国内の政情不安をうむ。というか単純に国力が下がる。さらには日本の名目GDPの割合が95年には17.3%だったのが2014年には9%。2040年には2.8%まで落ち込むというデータ(藤井聡によるデータ)が今回の放送でも提示された。それは世界における日本の存在感(プレゼンス)を失わせる。
というわけで国内経済の問題はそのまま安全保障につながるのですが、どうも軍事的な問題のほうが大事だということで、経済政策の失敗から目を背けようとする連中がいるようですね。
しかし、先ほど書いたように親米保守はそもそも経済については不勉強なのでした。
実はここが安倍政権に対して妄信的な親米保守が多い理由だと思っています。
つまり、反米保守側―藤井聡、中野剛志、三橋貴明(三橋は自分は保守ではないというが反米保守よりであるから便宜的にいれる)、柴山桂太―などは経済について語ることができる保守だからこそ、
「安倍政権のやった経済政策は日本国民を貧しくした」と判断することができ、安倍批判をするわけです。
すなわち、国力を弱めた、からですね。
一方で親米保守の側は経済についてわからないので、盲信するしかなくなってしまったのでしょう。
加えて、彼らがもともと新自由主義者だけあって、アベノミクスと相性がよかったというのもあるでしょう。
もっと日本国内について考えろ、というコメント
国際政治の問題は我々国民ではどうしようもないところが多分を占めているからです。
国際政治に興味をもってもそれに対して、我々ができることは殆どありません。
しかし、国内政治はちがいます。
消費税止めることもデフレを払拭することも、反緊縮の政党を選べばいいだけです。
これは非常に現実味があるといえるでしょう。
正直、憲法改正するよりも簡単なことなわけです。
私の主張と同様の主張を持つ方々は案外多いようでして、youtubeのコメントでもけっこうな人々が「国内政治の話をしろ」とうちこんでおられます。
そりゃそうで、三時間目に入ると西岡が二十分ぐらい韓国の話を好んでするのですが、韓国の話をいくらしようが日本の景気がよくなることは全くありません。
そもそも日本人の多くは韓国嫌いになっていますし、自虐史観とやらの影響からも脱している人が多いわけです。
つまり、韓国の話をされても、「もうそんなのわかってるから」で終わってます。
ぶっちゃけ、無駄なのです。
特にチャンネル桜の視聴者層が今、一番求めているのは経済を回復させることでして、十年ぐらい前の層とは違っています。
いったいどうしていつまでも本当に大事なことを無視し続けるのでしょうか。
本当は日本国内の問題の方が簡単に解決できるし、日本の国力を高めようと思ったら日本のことを考えるべきなのに、他の国のことを考えていてもしょうがない。
しかし、そういう他国のことを考えている間は、自国の欠点に気づかないでいられるわけで、それを気持ちよくおもう人たちがいるのですね。
要するに普段はマスコミを馬鹿にしているが、経済についてはマスコミが報道し
ていたような「いざなぎ越え」を信じているわけですね。
※ここで補足しておきましょう。
チャンネル桜の番組一覧をみてみてください。
そうすると、日本のことを一切語らない人たちが
います。こういう人のことは疑った方がいいです。
他国のことを考えて、自国のことを考えない人
一昔前、中国や韓国が日本を非難する理由というのは自国の政治体制への不満を日本にぶつけることで憂さを晴らしているからだ、とよくいわれました。
しかし、以前MMT討論の中で三橋貴明がいったように、今や、日本人が中国人や韓国人みたいになっているわけです。
同様に「れいわ新撰組」を叩くことで話をそらす、「安倍は保守である」といっていた評論家への失望も大きいのでしょう。
失望ゆえに藁にもすがりたい思いになった人のことを考えろ
結局、この六年間とは何だったのか。
そんな無念ともいえる思いが視聴者たちに到来しており、怒りとなって発露している。そんな感じのコメント欄をみていると、安倍政権を保守とたたえていたチャンネル桜の責任も重いなあ、と思われるのでした。
というのも今回の討論を見た方々はおわかりだと思うのですが、安藤裕と浜崎洋介以外、誰も日本について語っていないのです。
他のメンツは相変わらず、中国崩壊するだの韓国だの、あるいは「れいわ新撰組」が左翼だどうたら・・・
実は日本の心配なんぞ微塵たりともしてないのではないか?
それとも、今の日本をみると政権批判をせざるをえないので、わざとやってるのでしょうか。
私は後者だとおもってますが、と思うのは意地悪でしょうか。
このまま呑気にやってると、チャンネル桜の視聴者は経済的には明らかに正しい「れいわ新撰組」にうつるのでは?
宮崎正弘は「れいわ新撰組」が小池と同様に消えるといってますが、小池新党と違う点は、彼は日本の不況を終わらせることができる経済政策をもっているという点です。
私としてはもっと浜崎洋介に喋らせてほしかったなあ。
何かが起こったときにそれを真面目に受け止めて、考え、解釈することができる人の意見というのはきくにあたいするわけです。
それを「どうせ山本なんぞ」と見くびっているだけの人間は単に思慮が浅いだけです。
そうでないと、保守は山本に足をすくわれて、右下の党ができたころには手遅れになっているかもしれない。そのぐらいの脅威はもっていてほしいものです。
このメンツだと浜崎と安藤以外は私は期待しておりません。
↓山本太郎の経済政策はこの本にかいてあることにまとまっています。
↓移民を受け入れるようになった国の末路がかいてあります。
↓更に下の本では、保守のあるべき姿についてかかれています。