人とやりとりしていて笑う。
これは私たちに人間にとって日常茶飯事ですよね。
では、どうして私たちには「笑う」という機能があるのでしょうか。
今回紹介する本の著者ジョナサン・シルバータウン氏は『なぜあの人のジョークは面白いのか?』の目的を次のように述べています。
「笑いは何の役に立っているのか?」というお決まりの疑問が即座に浮かんでくる。この疑問に答えるのが本書の最終目標である。
では、みていきましょう。
笑いはなぜ起こるのか?
3つのプロセス
笑いは不調和とその解消によって起こるとされています。
私たちが笑うとき、そこには必ず不調和があります。
「公衆の面前で、突然、人がパンツを下ろしておどりはじめた。」
もちろん、ここには恐怖もあります。
そのため「不調和」→「不調和の解消」がセットの必要があります。
このとき脳は次のように動いています。
・思考(理解する)
・感情(面白がる)
・運動制御(笑うという身体的行動)
この3つの動きがあります。
今回の場合だと
「公衆の面前で脱いで踊り出す」=「理解する」
↓
「恐怖に感じるが、良く考えるとおかしいな」=「面白がる」
↓
「面白く感じた」=「笑うという身体的行動」
というふうになります。
つまり、あることで笑うためには、どういう状態なのかを理解しなければならないのです。
そして、「あれ、おかしくねえか、これ?」となって笑いがこぼれるってわけですね。
では、脳はどのような反応をしているのでしょうか。
引用します。
不調和を検知するのは大脳皮質の2つの領域(右中側倒回と右内則前頭回)であることが分かった。不調和を解消するのは、別の2つの領域(左上前頭回と左下頭頂小葉)である。さらに同様の実験によって、ほかに4つの領域(おもに扁桃核と皮質下部の中にある)が、不調和の解消によって引き起こされる愉快な感覚を処理していることが明らかになった。
これらの脳領域は、不調和の検知→不調和の解消→愉快な感覚という神経回路でつながっている。そこから先は、神経活動が視床下部や脳幹に広がって筋肉が動くことで愉快な感覚が実際の身体的な笑いに変わる。(太字はズンダ)
これを著者は「不調和仮説」とよんでいます。
笑いは〈性淘汰〉のためにある
異性を惹きつけるためのユーモア
ところで、どうして私たちには「笑い」があるのでしょうか。
実はこれ、異性を惹きつけるためにあるというのです。
心理学者のジェフリー・ミラーは次のように述べています。
音楽や芸術やユーモアなど、人間の文化的行動の多くも、異性を惹きつけるがゆえに性選択によって進化したのかもしれないと考えた。*1
更に、ユーモアは知性の証だと考えられています。
研究に依れば、試験の成績がよい学生ほどユーモアがあるということがわかっており、ある程度、相関関係にあるようです。
そして男女とも相手を選ぶときに知性を重視することがわかっています。
53カ国計20万以上を対象としたインターネット調査があります。
男が女に求める者
・知性・容姿
・ユーモア
女が男に求めるもの
・ユーモア・知性
・誠実さ
ということで、男女ともに知性やユーモアをみてることがわかります。
特に女性は末永いパートナーを選ぶ際には知性を重視するといわれています。
ただし、ユーモア力と相手選びとの間に相関関係があるかどうかは大した実験がないようで、本書でも1つだけ紹介されてますが、信憑性が低い。
というのも、私ズンダのブログでも散々紹介してきましたが、少なくとも日本に於いては、男は女に「若さ」を求め、女は男に「年収」を求めています。
そのため、相手を実際に選ぶとなると、知性やユーモアでどうこうというのはあまり関係ないのかもしれません。
いくら面白くても「稼げない男と一緒になりたい!」という女性は少ないでしょう。
終わりに
今回は「なぜあの人のジョークはおもしろいのか?」の骨子をまとめてみました。
本書では数々のユーモアが集められており、科学的な実験とユーモアを突き合わせて、なぜ人間にユーモアが必要になったかを探求しています。
正直言うと、ここで集録されているユーモアは日本人にとってはあまり面白くはありません。
前述したように、文化的な差異があるために「理解できない」のです。理解できないから、不調和が生じない。
そのため、不調和の解消が起こらず、笑いにも発展しないのです。
ここに収められている笑い話は「笑うために必要な条件である不調和仮説」が当たっていることを裏付けているといえるでしょう。
分からないコトに対しては、不調和が起こらないからです。
この本のオススメポイント
①なぜ笑うのか、が知りたい人
②笑いはなぜ人にそなわったか知りたい人
③海外のユーモアを目にしたい人
これらに興味のある人は、是非かってみてください。
リンク
では、またお会いしましょう、ズンダでした。