こんにちは、ズンダです。
NOTEに「優生学と弱者男性」と題した文章を上げました。
恋愛は優生思想である、という考えを基にした文です。
この考えは私ズンダが創発したものではありません。
明治時代からありました。
いや、遡れば優生思想のような考えは有史以来、いくらでもありました。
進化心理学によれば、人は誰かと恋愛したり結婚したりする際、無意識的に相手の遺伝子に惹かれているといわれています。
良い子孫をつくれるかという観点から本能が判断しているというのです。
そう考えれば、私たちは本能的に優生思想をもっているといえるでしょう。
一方で、これを意識的に語ることがあれば、その人は優生思想の持ち主としてナチスと同類扱いされるようになります。
当時の科学者や医者にとっては最先端の思想であり、彼等が目指すべきものでした。
↓優生学について知りたい人は必読の本。必ず読んで欲しい。
そして、その影響は日本にもやってきます。
今回紹介する本は阪井裕一郎『仲人の近代』です。
遺伝と結婚
優生学が世界的に流行る
優生学(eugenics)は1883年にダーウィン
のいとこであるフランシス・ゴールトンが提唱しました。
ゴールトンは優良な人種や血統が繁殖する機会を与えて人類を改善する科学をつくりだすことにありました。
優生思想について誤解されがちなのが、ナチスと結びつけられるところです。
優生思想自体は当時の先進国の流行であり、ナチスに限らず普通の考えだったことは知っておくべきです。
日本においても優生思想は導入されます。
これを結婚と絡めていちはやく語ったのが壱万円札で有名な福沢諭吉です。
引用します。
配偶を選ぶには、現在の身分、貧富、貴賤の如何を問はず、既に当人を是れと見定めたらば、父母、祖先、凡そ四、五世の上にまで遡りて、其家の職業、其家風、其人物の智愚強弱を吟味すること肝要なり。(中略)人の父母たらんとする配偶を選ぶに、心身強弱の家柄を等閑に附するとは、事物の軽重を知らざる者と云ふ可し。(赤字はズンダ)
つまり、
「結婚相手を選ぶときはその人の親や職業や体の強さを確認するのが大事です」ということが書いてあります。
まあ、ここまでは恐らく現代人でも納得できるところでしょう。
相手がどんな人かを知るために家族の素性を知ることは重要です。
気にしない人の方が珍しいのではないでしょうか。
違和感があるのは次でしょう。
強弱雑婚の道を絶ち、其体質の弱くして心の愚なる者には結婚を禁ずるか又は避孕せしめて子孫の繁殖を防ぐと同時に、他の善良なる子孫の中に就いて善の善なる者を精選して結婚を許し、或は其繁殖の速ならんことを欲すれば一男にして数女に接するは無論、配偶の都合により一女にして数男を試るも可なり。
といっています。
要するに「体が弱い奴は結婚させないほうがいい」と書いてあるわけです。
これを今いえば相当な反感をくらいそうです。
ただ福沢諭吉は妾をもつ風習を非難し、「一夫一婦制」をうったえていたり、
「愛」の重要性なども説いていた近代的な人物です。
こうした考えは狷狭などではなく、これが当時、最新の考えだったのです。
日本で優生学が普及していくー自由恋愛と媒酌結婚ー
さて、この後、優生学はどんどん日本で広まっていきます。
歴史学者の鈴木善次氏の研究にのっとって記述されています。
日本ではどのようにつたわっていったのでしょうか?
それは