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【読書感想】ドラクエの堀井雄二が推薦!『誰が勇者を殺したか』を紹介する!!!

 

「誰が勇者を殺したか」だれゆう公式アカウント@小説1巻発売中! 公式アカウントより

 

ミステリー小説風でもあり、『葬送のフリーレン』でもある小説

凡人でも勇者になれるか?

 

ネタバレあり。なお、kindle版では追加の短編があるので、こちらで読むのがおすすめ。

 

ドラゴンクエストで有名な堀井雄二が推していたので買った。

 

 

勇者が魔王を倒したが何者かによって殺されてしまった、という体で進む物語である。

 

旅をした仲間に勇者はどんな人物だったか?を聞いて、人物像を浮かび上がらせる手法は人気漫画『葬送のフリーレン』を思わせる。

 

作中、何度も勇者の平凡さが執拗なほどに書かれており、作者のあとがきにもあるように

「凡人でも続けることに価値がある」といったことを訴えたかったらしい。

 

それはいいことだが、勇者は魔王を倒せたから語られているのであり、実は結果がうまれていなければこの作品の主人公に選ばれなかったのも事実である。

 

預言者」の面白さ

 

この小説にはいくつか面白いところがあるが、その中でも好きなのは「預言者」の設定である。

 

預言者の一族である王妃は、寿命で死ぬ場合を除けば、死ぬことで何回でも死の要因に至る前の時点に戻ることができるという設定で、もはやお馴染みのループものだが、

その最大の魅力は預言者」という名が冠せられているにもかかわらず、「勇者と見越した人物が本当に魔王を倒せるかはわからない」ところである。

 

要するにこの作品は当たらずとも遠からず、四方八方にうちつづけた結果、

「たまたま魔王討伐に成功した人、つまり勇者が誕生する」という物語だったのだ。

 

だとすれば、これは預言者」なのではなく、数うちゃ当たる博奕打ちである。

 

だが、それが作者の伝えたい主題なのだろう。

 

先にも述べたように作者は凡人でありながら何かを続けることで何かが起こることを伝えたかった。

 

そしてこの「預言者」のループ設定も、その何かが起こるために

「成功するまで続けることを可能にする」ための設定なのである。

 

そこに気づくと真の勇者であったザックが王妃から「アレスを復活させることができるかもしれない」と希望の手を差し伸べられたが、言下に断った際の文句もよく理解できるようになるはずだ。

 

彼は自分がもう一度、ループしたところで魔王を倒すところまでいけたかはわからないし、他の人の人生をやりなおさせることもおかしい。

 

この複合的な偶然の重なりによって自分は魔王を倒せる処まできたのだという。

 

「成功」が必然的なのではなく、何千何万の運命の糸の手繰り寄せがうまく一致したときに初めて可となるものとしている。

 

預言者」の預言を確たるものとしなかったところに作者の思想がみえる。

 

↓関連しそうなズンダが以前にかいた記事

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続刊が出る予定らしいが、元から一巻の予定だったのだろう、物語としては完結しており、これ以上、どう進めるつもりなのかが気になる。

 

最悪なのはザックが王妃に頼み、アレスを死なせないで魔王を退治しにいくといった改編であろう。

 

読者としてはそんな休祥をみたいが、作者の根深柢固からは外れるのではないだろうか。

 

※追記

 

公式アカウントのTwitter(@daregayu)をみると、続刊は登場人物をガラッと変えて、続けるらしい。

ここでも「預言者」の設定がうまくいきている。

 

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