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HSPの特長や診断を謳う人たちには気をつけろ!『HSPブームの功罪を問う』を紹介する!!



 

 

HSPという言葉を皆さんは聞いたことがありますか?

Twitterやまとめブログで頻繁に目にしたことがあります。

 

「繊細で生きづらい人」という意味で使用されていることが多い。

 

 wikipediaの項目をみると、このように表現されています。

 

ja.wikipedia.org

 

ハイリー・センシティブ・パーソン(Highly Sensitive Person、HSP)とは、環境感受性Environmental Sensitivity)あるいはその気質・性格的指標である感覚処理感受性Sensory Processing Sensitivity)が極めて高い人たちを表す言葉である[1][2]。環境感受性とは、ポジティブおよびネガティブな環境刺激に対する処理や登録の個人差を表す特性的概念である

 

 



今回紹介する飯村周平HSPブームの功罪を問う』岩波ブックレット)には

この概念が精神科クリニックや宗教団体、インフルエンサーなどの商用に悪用されているとあります。

 

飯村氏曰く、HSPは「医療あるいは病理も出るに由来するものではありません」とのこと。

 

心理学の「感覚処理感受性」とよばれる性格や気質をあらわすものでしかないのです。

 

つまり、治療が必要な病気でもなく障害でもなく、単なる「高感度な人間」という特徴を述べたものでしかないのです。

 

日本においてはNHKの「ハートネット」や松本人志が司会をつとめる「ワイドナショー」や日本テレビの「世界一受けたい授業」などでとりあげられることで徐々に浸透していきました。

 

その後はTwitterInstagramなどを通して拡散され、私たちの中に浸透していったというふうに本書ではかかれています。

 

いったいこのHSPはどこが発祥したのでしょうか。

 

そして、こういった心理学用語を切り抜いて自分のアイデンティティとして捉えてしまう私たちの心理的な状況とはどのようなものなのでしょうか。

 

それをみていきましょう。

 
 

 

 

HSPってそもそも何なのよ?

提唱者はエレイン・アーロン

 

 1996年、アメリカの臨床心理学者であるエレイン・アーロンが、自己啓発本のなかでHSPという言葉を使用し始めたことに由来します。~(中略)学術的には、アーロン氏の本が出版された翌年に初表された論文が初出となります。アーロン氏の夫であり社会心理学者のアーサー・アーロンとの連名で、パーソナリティ・社会倫理学領域の一流研究誌に、いわゆる「HSP気質」に関する論文を発表しました。

 

余談ですが、夫のアーサー氏は、「吊り橋効果」でも知られる研究者です。揺れ吊り橋の上を男女で一緒に渡ると異性が魅力的に見える、というあの実験です。ただし、「吊り橋効果」研究の再現性には、疑義が生じていることも補足しておきます。

 

 というように、エレイン・アーロンがなんと「自己啓発本」のなかで使ったことがはじまりだったとかかれています。

 

 当ブログでは盛んに自己啓発を批判してきましたが、このHSP批判本にも自己啓発が絡んでくるとなると、もはや値遇の縁(ちぐのえん。縁があること)を感じざるを得ません。

 

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 またアーロンの夫であえるアーサーが「吊り橋効果」の提唱者であること、

そしての効果自体の再現性が疑われており、この夫妻自体が疑わしい人物なのではないか、という訝しんだ様子が飯村氏の文面からうかがえますね。

 

 

 「HSP気質」とは?

 



 「HSP気質」とは、学術的には感覚処理感受性とよばれる心理学概念です。

 アーロン氏は、シャイな人や内向的な人の背後には、新しく未知な状況において「いったん立ち止まり、指さし確認」をするような心理的特性があるのだと考えました。この心理的特性こそが感覚処理感受性(いわゆるHSP気質)とされます。

 

 

 ここからアーロン夫妻は心理尺度を作成するために「感受性が高いと自認する大学生」にインタビューし、感受性の高さを反映する27項目を抽出し、「HSP尺度」と名付けました。

 

 こうしてHSPという尺度が新しく生まれ、敏感な人の特徴が具体的に定められるようになったわけですね。

 

 

 

 HSPの定義を確認するのであれば、それは「ネガティブな刺激や経験から悪い影響を受けやすく、一方でポジティブな刺激や経験からは良い影響を受け取りやすい人」だといえます。つまり、感受性の高さゆえに、他の人よりも、「良くも悪くも」影響を受けやすいということです。

 

 発達心理学の分野においても1990年代後半から2000年代前半にかけて、差次感受性や生物感受性という理論が提案されたらしく、感受性に関しての研究が一段と進んだ時代だったということらしいのです。

 

 ここで大事なのはHSP「弱いこと」や「生きづらさ」を強調するためにつくられたのはないということです。

 

 実際には「敏感な人がいる」といっているだけであり、ここに適者生存や強弱などというものはありません。

 

 しかし日本でのHSPの捉え方はどうもHSPだといきづらい」という話ばかりが強調されています。

 

 ↓とはいっても、アメリカでも敏感すぎて「生きづらい」という人たちが増えていることが問題視されており、何かそういう流れなのだろうかと思ったりする。

 

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